藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

向精神薬由来症状/離脱症状の安全な取り組み方の検討と治療 13

1)GABAと体性神経の関係と症状群から、GABAレセプタ由来の症状群を考える

脊髄症や神経根症を呈する症状群も、受傷理由問わず、症状の継続により罹患高位のGABAの減少が示唆されています。推測するに発症初期は抑制を掛ける為、高い濃度を維持しようと機能するも、経時的にレセプタのダウンレギュレーションが惹起された末の事と思われます。GABAレセプタは脊髄にも存在する為、前角由来、後角由来のどちらにどのような症状を発症するかは結果論でしか推測出来ませんが、前角の運動障害や漠然な筋痛、筋萎縮、後角の電撃様疼痛や痺れ、及び両者が原因で発症しても、それは自然な経過と推測する事も可能です。

疼痛を代表とする症状には様々な鎮痛/抑制手段が挙げられますが、第一選択は薬物です。時期も経れば、大概はNSAIDsやステロイドが奏功しない病態になる為、神経伝達物質を動かす手段が用いられます。オピオイドセロトニンノルアドレナリンの濃度を上げて試みる下降性抑制や、Zドラッグを除くベンゾによる筋弛緩も疼痛抑制の範疇かもしれません。

只、何れも罹患細胞の回復手段ではなく、あくまで耐痛閾値を上げる、又はGABA濃度を高めて弛緩させる行為の為、骨性のインピンジメントで症状自覚へと発展する椎間孔由来で例えると、耐痛閾値を上げ続ける事で症状自覚は乏しくなるものの、体性神経の受傷が継続する理由になり、又、膝OAを代表とする変形性関節症を進行させる理由になります。

その為、この時点で2つの問題点が出ます。1つは薬物耐性により薬効自覚が乏しくなる=症状の増悪自覚の他、常用量離脱症状惹起の懸念と、もう1つは、薬効により疼痛自覚が乏しくなる事で行動制限が出来なくなり、耐性神経系の受傷度を高める事での、症状の増悪自覚が挙げられます。画像所見と現症が合致する例は多くないものの、脊椎や各関節の構造的な異常、癒着や肥厚の存在は、治療経過や推移の不安定性に関与している事は十分に考えられます。これらは構造的異常が乏しい症例との治療反応性や経過と比較すれば分かり易いかもしれません。

そのような中、画像所見が乏しく、外傷のエピソードもなく、骨性のインピンジメント、前縦や後縦靭帯の骨化や肥厚、撓み、腫瘍や感染も見られず、その他の発症由来も除外した上でも追随する脱髄や軸索損傷も乏しく、且つ、脊椎の湾曲にも然程異常が見られず、また、後根神経節等に過剰な牽引力が加わっている様子がなくとも、時に前角細胞を由来とする漠然とした運動障害や脱力、筋痛や、後角細胞を由来とする電撃様疼痛が見られる理由に、GABAレセプタのダウンレギュレーションが考えられます。

様々な理由で、GABA濃度は継続的に高める事は出来るかもれませんが、最も想像し易い当該部位のダウンレギュレーションを惹起する理由の1つに、ベンゾの中長期的な服薬による常用量離脱や、減薬や断薬で生じる離脱症状が挙げられます。現状は、線条体や脊髄に在するω2のみに及ぼすベンゾは存在せず、ω2に及ぼすベンゾの服薬は、イコールとして大脳皮質や小脳、海馬に多くレセプタを持つω1にも並行して及ぶ為、罹患部位は脊髄のみならず中枢神経全域と捉えるのが自然です。

罹患部位と発症部位は異なるものの、共通点は脊椎高位のROMに依存している印象は以前よりあります。末梢神経由来と髄節由来では部位が1.5高位程度異なる為、想像し易いよう末梢神経由来で述べると、C5/6、C6/7の腕神経叢由来、L4/5、L5/Sの腰神経叢由来が最も頻度が高く、これは自然発症の整形領域疾患と同様です。何れも、この4つの高位が受傷すれば、全身に症状自覚を齎すには十分な材料が揃います。

筋痛や筋硬直の類も、生理的な脆弱部位が発症部位として優先される為、ROMの自由度が高い脊椎高位から脆弱を持ち、神経走行に沿った部位に症状自覚を及ぼすと推測されます。また、ベンゾ離脱を交えなくても、ROMの自由度が高い部位が優先されて症状を発症している事には変わりありません。

特徴的なのは、脊髄症とされる構造異常による発症とは異なり、ベンゾ離脱では代謝障害による筋萎縮やファシクレーションが認められる例は存在するものの、構造異常を起因とするC6/7の脊髄圧迫によるC8髄節の第一背側骨間筋の筋萎縮の一方、T1に髄節を置く短母指外転筋の萎縮は認められない等の狭小な発症は少なく、抗重力筋や頻回使用部位から生じる広域な萎縮が認められます。

今回のω2に絞った、筋痛や筋硬直、電撃様疼痛、脱力等も含む運動障害の発症や継続、増悪の問題問わず、ダウンレギュレーションの示唆は、GABAの自己分泌能が乏しい事も意味する為、様々な身体/精神/環境ストレスに暴露した際も、自律が難しい身体/精神状態に陥る事で、想像以上の増悪と継続が惹起するものと推測されます。

2)GABAの自己分泌能の低迷期の身体/精神状態から、既存病態定義の誤りを考える

炎症反応がGABAの機能亢進を担う一因となる旨を述べてきましたが、コルチゾルステロイド/グルココルチコイド)が結合部位にエフェクター的な要素を持つ為、生理(月経)や外傷(針治療などの刺傷含む)等の明確な炎症イベントが発生せずとも、抑制反応を示す機能が強まると推測されます。世の中には、炎症が症状の継続理由と述べたがる傷病名は数多く存在します。

身近なものでは、肩関節周囲炎(五十肩)や腱鞘炎も「炎」です。実際には中長期的に持続する諸症状の多くは、神経根症とのダブルクラッシュの印象を治療応答から感じ取る事になる為、臨床像は少々異なるかもしれませんが、動作を理由に増悪する場合、耐痛閾値を超えた随伴する疼痛物質は軽微なりにも惹起されると推測され、諸々の諸症状の表面的には抗炎症薬の効果自覚を有する例は多くあるものの、無効例も多数である事と、炎症イベントが約束される針治療で改善経過を示す事が、その病態説明の誤りを示唆します。

逆説的な見方をすれば、罹患部位が炎症を本態とした症状である場合、抗炎症薬で改善自覚を得られると思いますし、日常生活で惹起される程度の炎症イベントであれば、自己の抗炎症ホルモンとなるコルチゾルで消炎も十分に可能な為、炎症を助長しない生活環境に身を置く事で回復もするでしょう。

このように、表面上の名称から察せられる病態と薬物の多くがミスマッチとなる例は珍しくありません。その為、症状の訴え方や処方する側の好みの問題もあるかもしれませんが、多くは向精神作用を持つ薬物が用いられ、その弊害に暴露する例も目立つのが現状です。イメージが付き易いよう、炎症反応と称して述べてきましたが、炎症が存在しなければGABAの機能亢進が惹起される訳ではなく、コルチゾルにより機能亢進が見込まれる為、身体ストレスで惹起される炎症のみならず、精神ストレスや環境ストレスでも見込まれるのは自然な現象と言えます。

GABAと称される抑制性神経伝達物質が高濃度に至る理由は、興奮性神経伝達物質の濃度異常が先行的に背景に存在する必要があり、炎症反応に限りません。どのような理由でも、その個がネガティブに捉えた事柄全てが増悪理由に繋がり、得てしてGABAの自己分泌能が低迷しているタイミングでは、必要以上の心身の興奮状態に陥ります。

あくまで炎症が病態の起因となり、各々の神経伝達物質や内分泌が機能しているのではなく、炎症が起因となった時と同様の機能が働くに過ぎない為、CRPを代表とする諸々の検査も陰性であり、良かれと用いた抗炎症作用を持つNSAIDsはベンゾ結合を外して離脱症状を増悪させたり、ステロイド薬は免疫抑制を生む等のデメリットが上回るのでしょう。

GABAにエフェクター要素を持つのはコルチゾルのみではなく、アルコールやステロイド薬、バルビツール酸系、βラクタム系も有名です。様々な要因でGABAの機能亢進は示唆される為、裏を返せば様々な要因で一過性ながらも(気付かない内に)症状の増悪を来す懸念もあります。

上記はあくまでベンゾ離脱を抱えているタイミングではどうか、ですが、GABAが適切に働く身体状態で、コルチゾルその他の、GABAレセプタの阻害や誘導物質が中長期的且つ過剰に体内に存在した場合も身体/精神状態に異変を来す理由も生まれます。「ステロイドうつ」等が代表的かもしれません。

抑制性と興奮性の不均衡としか表現が出来ないのですが、問題のない状態であればこれらは何かが起きても適切に働き、異変を自覚しない程度で自律的に収束されたり、短期で収束されるものですが、バランスが崩れている状態の場合は、軽微なトラブルでも身体/精神状態に異変を自覚させ、必要以上に長期化させるものと思われます。

また、ここ最近は難治例の中枢神経症状も、炎症(又は慢性炎症とする表現)が原因と言われていますが、仮に炎症で全ての問題が片付くのであれば、何処を罹患しようとも、これほど単純且つ原始的な病態はなく、更に自然治癒や抗炎症薬で、過去の問題として既に片付けられていると思います。

ただ大切な事は、炎症が惹起された後の内分泌や神経伝達物質の変動は、外傷等を発生させなくても示され、且つ前者と異なり局所の問題で済まない理由に、内外因の影響で長期的に暴露し続けるケースが多い事から、当該レセプタのダウンレギュレーション等や、HPA軸の機能/器質的な異常が惹起されるのも自然な流れかもしれません。

増悪因子に暴露し続ければ、重症化したり質を変えたり、新たな症状が惹起され易くなります。タイヤが1本ない車で1分走り続ける位なら無事かもしれませんが、1年走り続ければ様々な箇所に問題が起き、極端に寿命が短くなるでしょう。全症例に共通している印象として、それが恰も膝痛だとしても、長期に症状が継続するほど、神経学的な所見はなくとも原因は中枢に近くなる(支配領域の神経根や後根神経節)のは治療応答からも明確です。タイヤが一本ないトラブルも、時間の経過で車全体が傷み始めるのと似ているのかもしれません。

当初から中枢に近接する部位に原因が存在し、膝痛と表現させているのか、膝関節と言われる局所に当初は原因があり、繰り返す疼痛が軸索反射等によって警告を高めた結果かは定かではありませんが、何れにしても、あらゆる症状は長期化に従い、中枢神経(又は近傍)へ原因は近付き、活動に制限を掛けるよう働き続けます。

症状は重篤化するほど全てのキャパシティが狭まる為、様々な妥協点を常に高い位置に置く必要がありますが、具合が悪くなるほど低くなる傾向もあり、それが更なる重篤化を生むケースも散見されます。それらのリスク因子に暴露しない事も、症状の安定化へ繋がる要因になるのかもしれません。

参考…幼少期は血液脳関門も未成熟で、何らかの物質に暴露した際は、予期せぬアクシデントも起こり易いようですが、GABAのトランスポータも、脳と脊髄では成熟に至る経過や時期が異なる事が示唆されています。

レセプタやトランスポータその他が成熟したと思しき年齢となる成人以降も、抑制作用を持つベンゾ薬で、濃度依存等による興奮が生じ、身体/精神異常は時に見られますが、幼少期は更に特異的に機能する模様です。また、成人以降に鋭敏なベンゾ離脱を惹起しているタイミングでも、同量の服薬にも関わらず、時に思い掛けない興奮作用が生じます。

例)減薬や休薬をした後、何らかの理由で以前の服薬量に戻すも、以前とは効き方が異なる(症状が落ち着かないばかりか、ネガティブな症状が新規に惹起される等)

この現象は、結合部位に新鮮期が訪れている時期にベンゾ薬が結合すると、脆弱性(未成熟)を持っている為、幼少期と同様の興奮作用が生じたりするのかもしれません。

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3)GABAと炎症反応の関係から、GABAの自己分泌能の低迷期の身体/精神状態を考える

疼痛物質や血管拡張物質として、プロスタグランジンやブラジキニンセロトニンヒスタミンの類が知られていますが、これらが優位に惹起する炎症期では、GABAの機能亢進も示唆されています。その身近且つ局所的な炎症状態を呈するイベントに生理(月経)があります。ベンゾ離脱期はGABAの自己分泌能が低迷する事で、モノアミン系の神経伝達物質の自律的な抑制が効き難い状態と推測され、それらが身体/精神状態へ反映されている側面もあるでしょう。

コルチゾルの日内的な基礎分泌や病期(炎症期)により分泌量に変動は見られ、症状自覚にも変動を及ぼすと思いますが、炎症期にGABAが自律的に亢進して抑制を掛けようとする際、GABAの自己分泌能が低迷している場合、モノアミン系が際立つとイメージ出来ます。これらの現象を実経験している方は多いと思いますが、ベンゾ離脱が酷い時ほど、生理期は離脱症状が増悪しているかもしれません。勿論、局所/全身/短期/長期/大小問わず、炎症を惹起させるイベントは、生理(月経)に限らず日常生活にも多く存在します。

また、炎症性物質の合成を防ごうとNSAIDsの類を服薬する方も散見されますが、NSAIDsはベンゾ結合部位からベンゾの結合を外す事も示唆されている為、一層の離脱症状の増悪自覚が生まれるケースも少なくありません。一度ベンゾを服薬すると、服薬中は勿論、断薬後に離脱症状が落ち着いたとしても、ベンゾ結合を外しかねない物質(NSAIDsや抗生物質)は引き続きリスキーな印象を持ちますし、結合を促すその他の物質(ステロイド薬やアルコール)の摂取も、年月を経ても良い印象がありません。

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4)GABAと炎症反応の関係から、GABAの自己分泌能の低迷期の身体/精神状態を考える 2

刺傷が前提となる針治療も、刺針部位には必ず炎症が生じ、2~3日程度は残存します。その刺針部位による生理的反応や経過を以て、脳神経を除く末梢神経症状であれば直接的に栄養供給を促し、中枢神経症状であれば間接的に、罹患部位の回復を目指します。治療中や直後は様々な体内反応が生じる為、単一的に述べられませんが、治療中又は治療から数時間内に、急激な眠気が誘発される症例も少なくありません。それは如何なる原因を持つ症状であれ、治療部位が末梢のみでも発生します。例)腰部のみ等

その為、治療を介して眠気が誘発されたからと、それは何処かの部位に炎症材料を与えるだけで惹起される事象でしかなく、訴える症状に対して有効性のある治療か否かの判断は出来ない事も意味します。前項の内容を復習がてら述べると、炎症発生のイベントにより、自律的なGABAの機能亢進が示唆されるなか、ベンゾ離脱を基礎病態に抱えている場合、モノアミン系の制御が効かず、身体/精神の興奮状態に陥る可能性があると推測しました。

炎症反応は体内警告でもある為、諸々の興奮性神経伝達物質の濃度が高まると思われますし、自律を図る為、相応の抑制性神経伝達物質が応戦するのも自然な現象かもしれません。その自律性が破綻している状態を以て、自律神経失調症等と様々な名称が存在すると思います。その為、ベンゾ含むその他の向精神薬が関与してなくとも、何らかの理由で極めて重度の身体/精神不穏に陥ってる自然発症例や、アルコールを酩酊レベルで日々摂取している症例でも、以下のリバウンド現象の類似例は存在します。

リバウンド自覚の有無や大小は、その日の体調や重症度、受傷部位、病期により異なりますが、顕著な反応を示すのが、GABAレセプタやベンゾ結合部位に強い影響を与え続けた末のベンゾ離脱かもしれません。この度は分かりやすいよう、敢えて極端な例を挙げてみたいと思います。以下症例は酸素濃度の高低を主軸に推測した内容ですが、血圧やコルチゾル、血糖の変動等、眠気を誘発する理由は様々考えられますし、過呼吸、動悸発症の原因も様々考えられますが、これらの現象が惹起される多くに、モノアミン系の制御不能が前提に関与していると考えると、よりリバウンド現象の理解は深まるかもしれません。※以下をまとめると、

1)治療直後から、日中では経験した事のない極端な眠気が誘発
2)治療から30分ほど経過した頃、強烈な不安感と動悸、過呼吸が生じ、日増しに落ち着くも2~3日に渡り継続
3)この時期と並行し、アルコールの多量摂取や、過量服薬をしたい気分になる(しかし、既に毎日150錠飲んでいる)
4)4~5日後から、症状を具体的に表現出来るようになる、文字が書けるようになる、机に向かえるようになる

となり、4)を見る限りは良好な経過を辿っているものの、3)が以後に大きなデメリットになると判断した為、継続治療は停止しました。その為、その後は詳しく分からないまでも、1)から2)に掛けての過程は、表題の経過を示した可能性が考えられます。治療により、一過性ながらもネガティブな状態を自覚するタイミングは幾つか推測されますが、ベンゾ離脱症例で時に見られる身体/精神症状のリバウンド現象に、表題の理由も関与しているのかもしれません。
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age 30 sex f

幼少より家庭不和の環境で育つ。学校ではイジメの対象となり、中学生の頃、対人恐怖とパニック発作が発生した為、近医受診。当初は数種の向精神薬の処方だったが、患者周囲の環境が改善しなかった為か、薬剤耐性の獲得の結果かは判断が付かないが、数年を経て1日150錠程を服薬する(下剤も数種あったと記憶)。当時は本人から症状を伺えなかった為、他医で告げられた診断名を下に、症状継続の理由と原因部位の説明、治療後のリバウンドの説明を行い治療。直後から、日中では感じた事のない程の眠気が襲う。

帰りの車中で今迄起きた事のない程の不安感と動悸、過呼吸が生じ(治療から約30分経過後)、軽度に移行するも約2~3日継続。4~5日後、自身の今の症状や、今日起きた出来事を机に向かって日記に書き留めるようになる。今迄は机に向かう、文字を書く、症状を具体的に表現する事は出来なかったと聞く。治療後、アルコールの多量摂取や過量服薬をしたい訴えから、現症の改善や悪化云々よりも、アルコールの多量摂取や過量服薬で生じるデメリットが大きいと判断し、治療を停止。

上記症例のみではないが、治療後に似た状態を呈する患者は多かれ少なかれ存在する。それこそパニック発作的な症状、予期不安的な状態を抱えている例では、治療初期に強い精神症状が表現され、随伴する過呼吸や動悸等の身体症状も表れ易い。呼吸中枢は脳幹(延髄)に受容体が存在し、呼吸障害が発生する理由は当該部位の損傷と推測されている。今件の発症理由は家庭不和やイジメによる多大な継続的精神的負担(暴力を受ける等の身体的負担もあったかもしれない)、及び当時のレントゲン画像で頸椎の後弯が認められていた為、頚髄伸長によるテンションから、易負担も関与していた(る)可能性もある。

常用量離脱症状により、脱抑制が生じている事も十分に考えられるが、本人は向精神薬のリスクを既知としていなかった為、あくまで対人恐怖とパニック障害と世間一般では言われている、過去に得た名称の説明のみで当時は終えている。治療後、少々時間差を経て発生するリバウンド現象は、延髄の呼吸受容体で例を挙げるとイメージは湧き易い。過呼吸の発生理由は、酸素の取り込み過ぎ、体内の酸素濃度が要求量より高過ぎる事で起きる生体反応と推測されている。

恐らく治療直後に起きた極端な眠気は、脳内のCO2濃度が高まった結果だろう。その後、過呼吸などが生じ、数日を経て、今迄行えなかった事が行えるようになる(机に向かう、日記を付ける作業など)事を考えると、上記の推測を段階を以てイメージし易い。一過性だとしても、治療後の身体/精神症状は極めてネガティブな出来事だが、確と中枢神経へ作用が及んでいる証拠と捉えられる。脱抑制を持つ状態、及び延髄の呼吸受容体を由来とする症状を持つ場合、酸素濃度の変動も、リバウンド現象の1つの理由として身体に表れると考えられる。
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5)耳が鳴るように頭も鳴る

現場では「「頭が鳴っている」と伝えても「そんなのはない」と言われた」的な会話が少なからずあるのですが、調べたところ、日本でも1970年には既に「頭鳴」の単語は存在していました。こちらの論文では1954年から「耳鳴」「頭鳴」でデータを集めているので、発症理由や罹患神経はさて置き、少なくとも2019年-1954年=65年前から単語自体は存在していた模様です。「そんなものはない」と言われて話を終えても仕方ありませんし、個人的には目新しい訴えでもなく、何処が鳴っていようと構わないのですが、治療反応性から解説します。

耳鳴や頭鳴の発症範囲を鑑みる限り、生理的に代謝要求の高い脳神経の、内耳神経や三叉神経を由来とする症状表現と推測されます。たまたまその人に「耳鳴」や「頭鳴」が惹起されただけで、内耳神経(聴神経/前庭神経)や三叉神経の担当エリアは広範囲の為、これらの神経系が受傷した場合の患者表現は100様だと思います。

その為、人によっては耳鳴や頭鳴以外にも、難聴や膨張感、閉塞感、めまい、ふらつき、眼痛、耳痛、副鼻腔炎様症状、顔面部痛や頭部痛、歯痛様感覚等々が発症しても不思議ではありませんし、自然発症例や薬剤性では、脳神経1本が単独で受傷する事は万に一つも無いと思われる為、症状は必ず複合して表面上は複雑さを増します。

表面上は複雑さを増しますが、原因は中枢神経である事には変わりありません(厳密には脳神経は末梢神経の領域ですが、治療上の栄養供給は直接的にアプローチ出来る部位ではない為、中枢神経のカテゴリに含めて考えても良いかもしれません)。外傷や腫瘍、感染や梗塞等の興奮性/虚血性細胞死等による構造的/物理的な問題が見られない場合や、経年的に神経細胞が原因不明で自然脱落していく疾患でもない場合は、レセプタや自己分泌能、トランスポータの問題が発症理由(症状継続理由)の1つになると推測され、自然発症例にも同様に述べられる印象を持ちます。

レセプタや自己分泌能、トランスポータが発症理由になると、生きた人間を用いて(目の前の患者を使って)の動態検査はしようが無い為、原因不明になるのは仕方ありませんし、仮に調べられたとし、数値で表現する事が出来ても、それを以て良い悪いと線引きするのは難しいと思います。セロトニン作動性ニューロンが、脳幹の縫線核に在する事が理由となるかは推測を超えませんが、耳鳴や頭鳴の発症範囲を鑑みる限り、内耳神経や三叉神経が濃厚な印象を持ち、これら脳神経も全て脳幹から分枝しています。

当該神経は生理的にも代謝要求が高い(酸素要求量が高い)神経系の為、自然発症例でも視神経含め、罹患し易い神経系である事には変わらず、罹患理由問わず当該神経が受傷する事により、当該神経に沿った症状群が表現されます。薬剤性であれば、5-hydroxytryptamine(5-HT)に関係する抗うつ薬系で目立ちます。勿論、アンタゴニストの他、アゴニストのタンドスピロン/セディール等や、部分的オピオイド作用となるトラムセットも、セロトニンノルアドレナリンの再取り込み阻害作用がある為、臨床例では存在します。

ベンゾもモノアミン系(ドパミンノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンヒスタミンなど)の抑制を示す事より、逆転現象となるベンゾ離脱時も5‐HTへの影響は避け難いですし、リリカもGABAの誘導が見込まれる為、上記トラムセットと同様、鎮痛剤のカテゴリだとしても、何らかの形で5HTへの関与は避けられないと思います。ベンゾ離脱であれば「生理的に代謝要求が高い脳神経」+「ベンゾ離脱によるセロトニンの濃度異常示唆」で、視神経や内耳神経、三叉神経の類が罹患し易く、当該神経に沿った症状群が惹起されると推測されますし、このイメージで自然発症例の原因を探るのも興味深いものです。

代謝要求の高い神経系は、表現を変えれば常に負担が掛かっている神経系となり、傷め易く回復も遅延し易い印象を持ちます。顕著に様々な神経伝達物質の動態を変化させると推測されるベンゾ離脱は、症状も複雑化しますが、生理的に脆弱性の高い神経系や、その個が持つ脆弱部位から先行的に発症する傾向があるのは確かな事です。

6)高齢とGABA濃度の関係から、ベンゾ離脱の筋硬直系の理解を深める

高齢の脊髄や椎間孔周囲の脈管や軟部組織は、常々不利な環境に晒されています。多くは骨密度の低下や経年による負荷、既往の有無や内容にも左右されると考えられます。椎体の圧壊や摩耗、椎間板や各種靭帯の硬化、上/下関節突起の変形や骨棘の形成、椎間孔部の狭窄、滑りや分離等の、若年層でも惹起される例の他、各種栄養血管やリンパ管の問題なども絡み、治療応答性や経過は、若年層とは異なる印象があります。

また、脊髄症や神経根症を患った脊髄高位ではGABAの減少も考えられていますが、高齢を理由とする脳や脊髄のGABAの減少も示唆されています。高齢のGABAの減少は、一般的に認知症の発症や進行の一環と考えられていますが、これら高次脳的な機能障害以外で、脊髄絡みの身体症状に目を向ける事で、あらゆる年代で生じるベンゾ離脱や、高いストレスを継続的に暴露した自然発症例へも柔軟に考察を向けられます。

関節リウマチ様状態と表現すれば理解も早いかもしれませんが、その場合はGABA関連以外の症状も惹起される為、より明確に絞れば、抗GAD抗体が陽性(GAD = グルタミン酸脱炭酸酵素 Glutamate decarboxylase, glutamic acid decarboxylase)となるスティッフパーソン症候群を参考にするのも良いかもしれません。

>>傍脊柱筋の強直により、体が弓なりになる(過前弯症、脊柱前弯過度)。全身の筋硬直(板状、蝋人形状、「スズの兵隊 (tin soldier) 」)。全身のけいれん、ミオクローヌス(筋間代)。表情筋の硬直による、表情の減少。咽頭喉頭筋の硬直による、嚥下障害、構音障害。胸部硬直による、呼吸困難。腰部、脚部の硬直による歩行困難、転倒。腕や足の強直、けいれん。※wikiスティッフパーソン症候群」より

抗体は60%程度でしか認めらない為、スティッフパーソン自体が確かな自己免疫疾患とは捉えられていない側面もありますが、一般的にジアゼパムの反応の有無で判定する治療的診断が多く(※異論もあります)、重症度によりステロイド薬やバクロフェン療法等もありますが、ベンゾ離脱で生じる筋硬直系の病態理解の足掛かりとなる考察としては、分かり易いかもしれません。


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7)「統合失調症の治療はALS発症の機会を減少させるか」について

GABAの前駆物質はグルタミン酸で、統合失調症の病態仮説にグルタミン酸仮説があります。GADの問題やNMDA等のグルタミン酸レセプタ、各トランスポータがどのようにエラーを起こして絡むかは定かでないものの、グルタミン酸の過剰流入が、多くの症状を惹起する事は考えられています。

統合失調症グルタミン酸に基づくのであれば、今現在のメインとなる、セロトニンドパミンを動かすメジャー系だけでなく、そもそものグルタミン酸の分泌を抑制する事で、統合失調症の治療になり、それがまた、ALS発症の減少に繋がるのではないかと考え、逆説的に、統合失調症の治療薬を服薬している患者の、ALSの発症率を知りたくなるのは自然な経緯です。

グルタミン酸の興奮性細胞死がイメージに浮かべば、運動ニューロンの経時経年に渡るダメージも想像に容易く、それが確かな事か否かはさて置き、以下の検証も行われています。様々な病態を応用的に考えるには、興味深いものがあります。また、GABAによる抑制が乏しくなるベンゾ離脱も、統合失調症のような陽性症状や陰性症状、認知機能障害を呈する例も散見されますが、ベンゾ離脱に限らず、抑制性の神経伝達物質の動態が持続的に異常を来す事で起こると推測されます(より身近な物質であれば同レセプタをエンハンスするアルコールでもなる)。

そのような中でも、アルコール中毒含む薬剤性由来は、重症度に個体差はあるものの、進行は何処かで止まる/止まり易い印象はあります。只問題は、それが本態性ALSとは異なる病態の経過を辿るというだけで、場合によっては何処までも進行する可能性はあります。
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以下の転載内容に

>>ある報告によると、5,700人の精神科的疾患で入院している患者においてALSを伴っているケースの報告は高いとする報告もある(120/100,000)。

とあります。「精神科的疾患で入院している患者」とは、精神科的な治療を受けている=向精神作用を持つ薬物投与を受けていると推測する事も出来ます。流石に手ぶらで入院しているとは考え難いです。ベンゾ離脱を代表とする向精神薬離脱症状は、本態性ALSと極めて類似する症状も含まれてきます。転載内容に記載の通り、球麻痺/仮性球麻痺症状、うつ、認知症他、運動障害も珍しくありません。

急激な痩せ現象や筋萎縮は、随伴的な合併症を読む限り、本態性ALSとは異なる、代謝要求量の高い部位や抗重力筋から脂肪と並行して痩せていく代謝性障害と思われます。その為、運動ニューロン疾患とは異なる病態を持ちますが、四肢や体幹の硬直に伴う生活動作の不具合の進行によっては、どうしてもALSや類似性の高い神経変性疾患は思い浮かぶかもしれません。

また、精神科的疾患で入院している、ALSと診断された患者群の中にも、上記で触れた向精神薬/離脱症状由来のALS様現象により、誤診されているケースも存在するかもしれません。他、一方通行の病態を呈する本態性ALSの一部は進行が止まるケースも存在しますが、停止例(Swinnen B, et al. The phenotypic variability of amyotrophic lateral sclerosis. Nat Rev Neurol 10;661–670, 2014)は、向精神薬/離脱症状由来のALS様現象が混ざっている可能性も否定出来ません。
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以下のページは既に削除されておりますが、キャッシュから拾えたので、行間等は読み易いように直してコピペします。http://www.als.gr.jp/staff/document/rinsyo/rinsyo_22.html Does treating schizophrenia reduce the chances of developing amyotrophic lateral sclerosis?Stommel EW, Graber D, Montanye J, Cohen JA, Harris BT Med Hypotheses. 2007;69:1021-1028.※文字数制限の為、続きはフェイスブック

8)寛解増悪自覚のタイミングから、離脱症状の病態を考える

離脱症状と一言で表現しても、その成り立ち具合を見る限り幾つかに分類されます。興奮性や抑制性の神経伝達物質が不均衡を起こしている、自律神経症状や脳神経由来の症状から、大脳や小脳、脳幹や脊髄由来の症状まで幅広く、複雑に織り成します。深刻度の高さとして、一般的に後遺症や障害と表現される理由やレベルになる、断薬後も5~10年に渡り持続する症状の存在です。長期的な症状の残存理由は、神経伝達物質の不均衡の病態説明のみでは、実際の現場では耐えられないものです。

視点を変えれば、GABAの自己分泌能やレセプタ、トランスポータや酵素/補酵素の回復や補充が得られても、実質的に受傷した神経細胞の回復が得られない内は、症状も安定せず持続する事も考えられます。遷延性を持つ症状群は、GABAの前駆物質となる、興奮性神経伝達物質のグルタミン酸を始めとした、興奮性細胞死が示唆されます。その為、この頃には抑制性や興奮性の神経伝達物質の不均衡による病態説明では、臨床像と掛け離れます。どの症状が遷延性を持つかは、後の結果論でしか述べられませんが、多くの症状でも同様な説明が出来ます。

この度はイメージが付き易いようアカシジアを例に挙げます。遷延性を持つアカシジアの増悪タイミングは、外内因問わず何らかのネガティブに暴露した際、一過性ながらも増悪します。アカシジアの発現要因も諸説ありますが、今回はインデラル等のβブロッカーが有効性を示す場合もある事から、ノルアドレナリンの分泌異常説で例えます。その個がアカシジアを基礎に抱え、その上でネガティブな事態に暴露した際、ノルアドレナリンが分泌し、仮にベンゾ離脱を抱えていれば、抑制機構も乏しい為に増悪します。

只、それは興奮性神経伝達物質に対する抑制が効かない身体状態であり、アカシジアを悪化させる理由にはなりますが、アカシジアを継続的に惹起させ続けている理由にはなりません。そのように捉えると、アカシジアに限らず、症状が遷延的に持続する理由は、当該症状を持続させる要因となる何らかの神経細胞の受傷が背景に無ければ起こり難い印象を持たざるを得なくなります。

また、アカシジアはD2受容体に作用を持つメジャー系で生じる錐体外路障害の副作用として有名ですが、幅広い種類の薬物でも生じる可能性が挙げられており、ベンゾ離脱によるモノアミン系の持続的な異常分泌も発症理由として挙げられます。そのような中でもベンゾ離脱に関しては、副作用で起きているのではなく、離脱症状で起きている為、身体に不具合を自覚したからと、即時的に休薬するのは大きなリスクがあると推測されます。また、前項からの内容と照合しながらベンゾ離脱と対峙するにあたっては、

a) GABAの機能亢進は、ネガティブな因子に暴露する必要があり、機能亢進を後押しする物質に、アルコールやステロイド薬、ベンゾジアゼピン系薬、バルビツール酸系薬、コルチゾルステロイドホルモン/グルココルチコイド)、βラクタム系の抗生物質等がある

b) ベンゾ結合を外す物質(離脱症状を増悪させる物質)に、NSAIDsやキノロン系、マクロライド系の抗生物質等があり、ベンゾの服薬中は勿論、ベンゾを断薬後、離脱症状が無症候になってからも服薬した場合、一過性ながら離脱症状が再燃する懸念がある

c) 針治療も炎症反応が生じる為、a) の通りコルチゾルの分泌によるGABAの機能亢進が示唆され、直後から眠気等が誘発される可能性もあるが、治療作用とは無関係。罹患細胞の回復や、それに伴う症状の変動自覚は、治療直後に評価は出来ない

d) ベンゾ離脱を抱えていると、ネガティブに対する抑制機能が著しく乏しい為、針治療による炎症の残存期間も、一過性ながら身体/精神状態が興奮(又は抑うつ)する懸念がある。また c) の通り、治療後に興奮(又は抑うつ)状態に陥ったから治療作用があると評価は出来ない

等の注意点があると考えられます。

9)向精神薬由来症状を過去に抱えた上での社会復帰問題

社会的な接点を持てないレベルか、日常生活に支障を来しているレベルか、人生そのものに支障を来しているレベルかにより、細々とニーズは変化すると思いますが、そのニーズという個人の尊い意欲すら失わせるのが、あるのかないのか分からない病名の存在と、その病名の名の下に動いている様々な制度と、向精神薬の存在かもしれません。

只、そればかりを問題視していても仕方ありませんし、日本には処方期限がないからだーとか、合法だから厄介だーとか、非合法の麻薬や覚せい剤と同じような成分だからウガーという話をしても、良くなるものでもありません。また、「こんな症状治るわけないでしょー」と暴れていた人が、数年後にはいつの間にか働いていたりする事が凄いとか良かったねでもなく、自己制御がし難くなる中枢神経にダメージを受けると、それは努力とか、闘病とか、そういう言葉では語れない部分も多くなります。

努力で治るなら誰も困っていないですし、内分泌や神経伝達物質が濃厚に絡むと推測される病態は、努力や根性は裏目に出て増悪するケースは散々ありますし、離脱症状は決して良いものではありません。1人1人、離脱症状を既知されてから見聞きしてきた情報は異なる為、1人1人が表現する向精神薬や病名に対する捉え方や考え方は全く異なり、受け止め方も異なり、それが以後の行為行動に反映されます。

それももしかしたら、希望的観測も含んだもと、取捨選択して取り入れてきた情報群である可能性もあり、過去から現在に掛けてのニーズの積み重ねかもしれません。そして、その個のニーズにより、過去から現在に積み重ねてきた捉え方や考え方は、修正が難しい事も分かります。

それでも尚、離脱症状を既知とし始めた時に見始める情報群は大体絞られており、形は違えど、根底にはその話が存在する事も聞いてて分かります。「解毒」「ヤク抜き」「酒抜き」と、表現は色々あると思いますが、それはあくまで1つの行為を示す表現であり、「離脱症状をどうするか」とは異なる次元の話です。

「腰椎ヘルニアです」と言われて手術をするも、いまだ症状が残っているのを訴えても「手術は成功しましたから」と言われるのと同じようなもので、行為と結果は必ずしも関連して答えに導いてくれるとは限らないものです。離脱症状は、ゼロにすれば治るものではない病態である事は多くが知っていると思いますが、その上でも修正の効かない現象は、その時に努力行為で収集した情報だからこそ、固執し易いのかもしれません。しかし、この病態は努力をするほど増悪するループにハマり易いのも現実です。

プラセボ効果の存在を多くは肯定している事が分かります。プラセボを信頼出来るなら、ノセボ効果も信頼出来るはずです。今の薬物は、離脱症状を知るまでどれだけの人間が嫌々飲んでいたでしょうか。そして離脱症状を知ったとたん、どれだけの人間が急に嫌々飲み始めているでしょうか。もし、ノセボがそこに働いているとしたら、それは大損で、当時必死になって集めた情報に固執し、嫌々飲んでノセボ効果を生んでいるのだとしたら、勿体ないかもしれません。

人間の身体は説明し難いほどの少しの拍子で大きく変わる事はずいぶん見ていますが、今がいかなる状況であれ、少しでも考え方を変えることが出来れば、大きく前に進めると思います。
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治ることは人生の通過点に過ぎません。目的を達成する為には1歩1歩進むしかありませんが、治ることが目的の人、治療を受けることが目的の人は、目先が近過ぎて上手くいきません。そのような中でも、寝たきりレベルから幸いにも全快した、又は1~2個まで症状が落ち着いた段階から、次に進み始める方も見られます。進学や就職などによる社会復帰です。只、ここに至るまでは年単位のブランクも珍しくありません。年単位のブランクも珍しくないということは、履歴書の空白期間も年単位になり、そこをどのように穴埋めした説明が面接で出来るかが肝心になってきます。

一般企業に勤める事を目的とした場合、「向精神薬云々で~」と説明し、理解してくれる人事がいるかも不明ですし、それ以前に健康不良を空白期間の理由に用いるのは、どのような伝え方をしても印象が良くありません。怪我や病気からの復帰で賞賛を得らえるのは、著名人やスポーツ選手等の極めて限られた職業か、在職中や在学中の、既にその人を知っている(知られている)方くらいだと思います。

向精神薬で被害を被った場合、色々と恨みつらみがあって話したい事も沢山あるかもしれませんし、「世界で一番つらい」「こんな症状の人は他にいない」「この現実を知ってほしい」と訴える人も多いですが、社会はそれを許容も理解もしないと思います。「面倒くさいな」で終わります。それが現実です。そもそも論として社会は健康問題に寛容ではありません。骨が折れた、風邪を引いた程度ならイメージも付きやすいので未だしも、見慣れない聞き慣れない症状なら尚更です。「ベンゾ離脱で~」なんて隣近所で知っているでしょうか。

社会は色々な事を回すにあたり、健康はどうしても前提になります。それならば今が元気なら伝える必要もないし、相手方も聞きたくもない理由になるのは自然な流れです。自身の身体から発生したトラブルは、本人にとっても大きなイベントになりますし、向精神薬由来症状は、多くの巻き添えと大きなトラウマになるほど酷い事態になるのは承知の上ですが、何処かで許し、折り合いを付けないと前に進めない場合もあるのかもしれません。
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 イメージ 1 ~針治療から病態定義の見直しを~