藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

向精神薬長期服薬による薬剤性ALS様症状


「人生の変転 下山日記 http://blog.goo.ne.jp/lifeischangeable
(H28春)ブログ管理者と親交のあった方からお話を伺った限りでは、最新記事を最後に自死されている模様です。ご覧頂ければ分かる通り、長期的にデパスを服薬し続け、常用量離脱症状(又は副作用)を機に筋肉の痩せが始まり(他症状もあり)、ALS様症状が止まらなくなったと推測された事例が書かれています。
全て読み切った訳ではありませんので、この方に関しては分かり兼ねる部分、又は認識に間違いもあるかもしれませんが、薬剤性ALSが引き起こした運動神経の脱落~変性に伴う呼吸器の障害か、又は離脱症状としての自律神経異常(交感神経の持続的異常亢進)から派生した呼吸器障害か、今では知る由もありませんが、こちらのブログ管理者の方に限らず症状が出ている人は珍しくありません。
久し振りにブログを覗きましたが、今現在もコメント欄を通して情報交換が行われている模様ですので症状に悩んでいる方にとってもヒントは転がっているかもしれません。
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※改めてザッと読み投稿当初の症状を抜粋しました。これらの症状が2015年7月まで増悪していく印象 ※途中、デパケンや漢方、他様々なサプリや食餌を追加されている記録もあり 
【主な服薬歴】デパス(0.5 mg)を1日2-3錠を10年間以上、ソラナックス(半錠0.2 mg)に変えて1日2-3回を2年間といったペース
>>2014年5月タイミングで明らかに変調したこと 
・眠れない:あれほど昼寝ができていたのに運動しても一睡もできません。運動の疲労感をダイレクトに感じることができないというか。自然入眠は不可能です。
・体脂質の異常:頭皮、顔の脂など目立ってくるようになりました。皮脂が多いせいでしょうか、脱毛も目立ってきました。
・腸の不調:5月からいつも一定の「悪い」状況です。嫌気性発酵の状態です。
・傷が治りにくい:腹筋を板の間でするとお尻の皮が破れるということは今までなかったのに、筋肉が落ちてきたからでしょうか。また、傷も治りにくくなったように思います。
・喉が痛い:5月からずっと喉に違和感があり、声がかすれます。発声をしていると声は出るようにはなってきます。痛いときもあり、人間ドックの胃カメラを飲む際の麻酔薬で喉が痛くなりました。朝一番で少し、痰に血が混じるということもありました。
・発疹が散発的に生じる:腕にせよ脚にせよ発疹が散発的に生じてその後、筋肉が落ちていったように思います。その後、静脈が見えるようになって筋肉が落ちたということが分かります。
・思考力、物覚えの低下:これはショックでした。少なくとも自分自身、自信があったので。英語は好きですらすら出てきていたのに、聞き取れなくなり語彙が相当に落ちたように思います。
>>2014-09
ジアゼパム2mg半錠のみで数日過ごしていたら、また元通り夜寝られなくなってきた。これは、ベンゾジアゼピンのクラシカルな薬剤であり、切らすとパニック発作が怖いので継続。最小量としての服用を当面続ける。
痩せが止まらない。喉の球麻痺、喉の筋肉、肩の筋肉、胸、脇腹、二の腕、肘、前腕、指、太もも。寝ることにも支障が出る。おまけに歯肉も後退している。これまで喜んで飲んできたんだ、毒を。
脚の筋肉のぴくつきが往々にしてあり、脚の細りを日々感じている。ものを強く握ると指の関節が痛い。耳鳴りの強度は5月から変化なし。頭皮、顔の皮脂分泌が強い。髪を洗った翌朝には既に脂っぽい。脇腹の筋肉がなくなり骨が邪魔をしてとても眠りにくい。実際、寝ているのかどうか。目を閉じて長時間横になっていることで体力を温存している意味合いが強い。やる気のあったことをやる気にならない。
>>2014-10
痩せるスピードが一段と速くなっているような気がする。1時半から寝ることを試みるも完全不眠継続中。喉の慢性的な痛み。左腕親指付け根、骨皮になって痛み増す。耳鳴りうなりあり。体力の貯金を消耗。身体の中で考えられないことが起こっている。
歯肉の縮退が進行している。右の金歯は金属部分と歯肉の間に歯肉が減少した分だけ隙間が2-3mmほど生じた。下の前歯は、黒線のところまで歯肉があった。犬歯も下の部分の歯肉がなくなっていることが分かる。同様に上の歯も歯肉が後退している。下の歯以上に3-4mm歯肉が失われている。
>>2014-11
朝方は特に息苦しい。肺活量が小さくなっている。重しを乗せられたよう。今週は歩行障害、口内歯肉減少による歯のぐらつき、肋骨露出による仰向け不全など症状がどんどん進行した。呼吸が苦しいときが多くなり、足にも力が入りにくくなり、神経筋障害症状がついに次のステップに進んだという感がある。手指足指とも爪と指の接着面が後退していっている
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本態性ALSの症状は運動神経の全脱落を呈する事、そしてALSからTLSへと移行する事なども含め、常に治療法は模索されているものの進行を抑えられない、と言うのが現時点での通例です。それならば薬剤性ALSはどうなるか、と言うのも症例数が少な過ぎる為に断言出来兼ねる部分もありますが、仮に現行ALSの病態概念が事実だとした場合、ベンゾ系の作用を鑑みても十分に同様な症状惹起・後遺障害に至る程の症状・そして進行性と言う事態に陥る可能性も又自然な事かもしれませんし、そのように考えますと、現在本態性と診断された方の中にも薬剤性が含まれてくる、含まれているのでは?と言う可能性も否定出来なくなります。
しかしながら、現在の本態性ALS患者に対しては将来に対しての不安要素の払拭名目としてベンゾ系が処方されているケースも散見される事から状況は更に分かり兼ねる事になりますが、例えばこれも見方を変えてみると、仮に本態性ALSで運動神経は脱落し、知覚神経や自律神経が生き残る中、ベンゾ系の長期処方によるネガティブな側面が惹起された場合、どのような対応がされているのでしょうか。それもこれもあれも全てALSと言う大きな病気に責任を押し付けられているのでしょうか。
今件のブログ管理者のメインとなる薬物はデパスでしたが、デパスに限らず、ベンゾ系は脳内の広範囲に渡り配置されているGABA受容体に作用する事から、中長期的な服薬でダウンレギュレーションが生じた場合、運動系の中枢である大脳皮質の運動野や脳幹の運動ニューロンが脱落~変性が生じる事は十分に考えられます。その結果、痩せが止まらない、身体が動かなくなる、動き難くなる、と推測する事も容易く、その被害は甚大であると考えられます。

先日、http://blogs.yahoo.co.jp/anti_white_supremacy/13985098.htmlでも触れましたが、進行が止まる事もあれば止まらない事もある、と言う結果しか現段階では伝えられないのも現状です。進行制止の有無は罹患期間に左右されるものなのか、本態性ALSが絡んでいたのか、たまたま他疾患による羸痩や運動神経の脱落を呈していたのか(これは確率としてはないと思うが)分からない部分はありますが、臨床結果としては先ずは進行が止まる、その後徐々に筋量の回復に至った事例もある事から、薬剤性に限っては未だ希望はあるかもしれません。
薬剤性ALSは度々聞く話題ですが、遷延性の離脱症状としては極めて深刻な事態であり、患者自身は止まらぬ痩せの恐怖、動けなくなる恐怖に対し、一番良くない最期を自らの手で締める方は少なくないでしょう。直接的な副作用で死ぬのではなく、薬を減らす過程で起きた離脱症状が止まらず、その症状に悩み苦しみ人生に悲観し自ら命を絶つ人もいます。
何のキッカケか、私はこのブログにコメントを残している2~3人の方と直接お会いする事が出来ました。こちらにコメントを残す位の方ですので、一様にベンゾ系の長期服薬によるALS様症状に苛まれている方々とはなるのですが、2例は痩せが止まり、もう1例は未だ止まっていません。今後止まるのかどうかも分かりませんし、進行し続けるかどうかも分かりません。長期的な追跡が出来ていない面もある為、一番気になる点である本当に本態性ALSと同様の進行(状態)を呈するのかも分かりません。
何れも若年層である為、様々な情報収集に努め上げられた結果、薬剤性であると患者自身が知る事が出来たのかもしれませんが、自身で情報を仕入れられない環境にいる場合、このような薬剤性ALS様症状に限らず、凡ゆる薬剤性由来の症状を個の患者が抱えても、闇に葬られている気がして恐怖すら覚えます。自分が不利な立場に立たされぬよう、自分が飲んでいるものの情報は鵜呑みする事なく、凡ゆる角度から見直す事も大切な事かもしれません。飲み続けながら苦しむ事もあれば、減らしていく過程でも苦しむ事がある。向精神薬の害と言うのは本当に深刻なものです。

尚、ブログ管理者が2014-09-08に述べられている事を転載し締めようと思います。
>>きっかけは些細なことでした。性格的なものもあったのでしょう。もう13年も前に心療内科を受診し、デパスという薬を処方されて、「栄養剤」のごとく飲んでいました。カウンセリングも安心するものがあったので、2ヶ月に1度行っては、お話しをして薬ももらってくるという具合でした。このことは、全く迂闊で愚かでした。10年以上飲んで、症状が出て気付くまで。ベンゾジアゼピン系の精神安定剤は決して1ヶ月以上も服用してはなりません。これは私からの大げさでなく命を賭したメッセージです。

参考関連 (クリックでリンク先にジャンプします)

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