藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

「画像所見上は誤診ではないのだが、画像所見上と症状が直接的な因子を持つと捉える解釈は誤認であり、症状惹起の機序は不成立である」との理解が得られるまで

一般的な症状因性として、侵害受容器の配置に伴い随伴する受傷起因によりA)侵害受容性疼痛、B)神経障害性疼痛、C)心因性疼痛等と、大まかに3グループに疼痛由来は分類されるものの、如何せん幾つかの根底的思考を除外しなければ、臨床上では治癒遅延を招きかねない事態にもなる。
A)単体、B)単体、若しくはA)とB)の混合型等のように、症状の惹起に関しての多くはオーバーラップしているものであり、普段は私も心因性と言う診断に対して懸念はしているものの、それは「心因性」と言う、何でもアリのゴミ箱に捨てられる症状群に移行している、若しくは画像所見上や血液検査上で異常が無ければ、即時的にC)に連れて行かれる現状に対しては危機感を示しているものでもある。
ストレートに心因性と言う表現が用いられずとも、思春期や更年期、老齢期、成長痛と称される類も含まれているものであると考えている。
現代医療が得意とする日常生活で易発症の症状群と言うものは、あくまで急性期、炎症期、急性憎悪期と言われるタイミングであり、そのタイミングを外し症状が慢性化した場合、残念ながら多くはC)に移行「させられている」ケースが散見される。
取り分け、A)~C)に関しても、仮に損傷した場合とて、医療機関を受診する事なく日常生活に極めて影響がない程度の軽症例であり、自己解決出来るものであればカウントされないだけの事で、何故C)にカウントされる事になったかのプロセスと言うのは、非常に興味深いものである。
心因性」と言う表現は好まないが、「心因性疼痛」と言う事実は有ると思っている。受傷機序が不明瞭な疼痛性疾患や非疼痛性疾患の類は端からC)になる。それらの多くは体性神経を由来としない自律神経由来で発症するものが大半の為、患者の抱える内外因子の環境にて、自己の備える閾値をオーバーした場合、症状として自覚する事になる。
さて、C)を自覚する事は、人間としては当たり前だと思う。問題は、当たり前に発症するものであり、当たり前に自然治癒するものであると捉えられない場合かもしれない。最近は、「薬は毒だ」的なフレーズをよく見かけるが、更に前段階として考えれば、全否定はしないが、「薬と言う存在自体が無ければ、そもそも薬がどうちゃらとか考える必要性がない」と言う事である。
熱い!→冷やす。冷えてる!→温める。と言う、単純な図式を奪ってしまったのも、人間が積み上げてきたツケでしかないのだから、全ての治療は尻拭いであると捉えても過言ではないかもしれない。
とは言え、そのような既に過ぎた時代の仕方ない過去の話はさておき、現在の現象からスタートを切る事になる多くの患者群は、多くが薬を飲み、多くが手術を経験し、その多くが未だ症状を抱えていると言う理由を考察すれば、有害性や中長期的な将来性のリスクを高める手段だったに過ぎないのも分かるし、回復に運ぶ為の道程には、根底的思考の切り替えが必要にもなる。
「何でシップも貼って薬も飲んでるのに良くならないの」と言うセリフは全国どの地域でも聞く言葉だが、「シップを貼って薬を飲んでいるから良くならない」と言う思考に持っていく事が患者は出来るだろうかと言う部分に帰結すると思う。
これは単なる一例でしかないのだが、もっと分かり易く書けば「ダイエットしたい」と言いながらアイスクリームを食べているのに等しく、1度形成された思考と言うのは、なかなか切り替えられるものでもないし、幾ら資料提示しても分かってもらえるものでもない。
まして、そこに自身が過去に医療機関で告げられた傷病名に病態定義の誤りがある事、それは「画像所見上は誤診ではないのだが、画像所見上と症状が直接的な因子を持つと捉える解釈は誤認であり、症状惹起の機序は不成立である」と迄なると、患者側とて何だか面倒臭いものである。
それでも尚、非服薬群で、且つ純粋な整形領域や自然発症性の自律神経系症状であれば、治療ベッドに横になってもらっているだけで、患者の根底的思考はどうであれ、何とかなるものであるが、服薬群ともなると、そうはいかない部分もある。
「対処療法」と言う意味が分からなければ、その「対処療法」すらも患者によっては「治療」と言う誤認が継続し続けるし、その患者誤認の「治療行為」の継続が治癒に向けての逆行作用であり続けると言う事も、治療行為であると誤認し続けた場合、やはり治癒遅延は生じるものである。
更に言えば、薬物を介さない治療手段の中には、症状の由来が何であるかにより、やはりリスク高度な手段と言うのも含まれてくる。その症状由来が何であるかを理解する事が出来れば、薬物を介さないまでも、リスキーな治療手段は除外する事が出来るのかもしれないが、一般的には其処まで考えている患者はいるだろうか。それらのリスク高度な治療手段も多くの医療機関が備えており、点数加算の為に用いられている事も多くの患者は知らない。まして、既に何処かに症状を抱えているから「患者」なのであり、冷静な思考状態でもない。
故に、シップを何十枚も貼ったり、過量服薬に至ったりする。それは、自己知識内に於いて出来るだけの事を行った結果でしかない為に、それは否定してはならない事なのでもあるが、その有害性に対しても気づいてもらう必要性はあり、仮にもそのような思考を持った患者が目の前にいた場合、患者に行ってもらう事は、これらの根底的思考の切り替えが重要にもなる。
理解の一致が無ければ回復には至らない。A)もB)もC)も、生きていれば当たり前のように起きる。当たり前のように起きると言う事は、当たり前のように治ると言う事。当たり前に治らなくなった原因を探れば、自身に近しい存在だったりする場合も少なくない。

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