藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

明日も明後日もルーチンを繰り返す人間に必要な医療とは


この世界は事実ベースと商業ベースで成り立っている。先に書いておくと、事実と商業は立ち位置もスタイルも全く異なる為、議論の壇上に上がる事はない。上がろうにも平行線である為に上がる事すら出来ないのだ。しかしながら、この世界は事実と商業が水と油のように混ざらないようで実は混ざっている。まるでマヨネーズのような状態の中で生きている事が分かる。どれが事実で、どれが商業かを見極める為には、今現在、何かしかの症状で困っている場合、盲目となる。その為、精査する事なく踏み込んでいってしまうのだが、多くの人間が目にする情報というのは、多くの利益を得る為に制作されている商業ベースである可能性が高い。
1つは感情に訴えかけるものだろう。今、こうしてブログを見ている周囲の画面にも、何かしかの広告は掲載されていると思う。全てが害悪かと言えばそうではないかもしれないが、「何処に行っても治らないアナタへ今度こそ」的な表現方法や、類似性の高い情報を長い縦スクロールで見せてみたり、散々患者や客の声と写真を掲げていたり、苦難のエピソードの先に〇〇の商品が流れていたりというものである。人間は理論よりも感情で動く生き物である事を、商業ベースの方々は知っており、巧みに用いている。感情で動いたものは、それが良かれ悪かれ「良かったことにする」のが人間という感情で動く生き物である。
とは言え、そのままでは患者自身の幸福と言うのは得難いもので、事ある毎に感情で動き金を払い、身体を壊していては何れは様々な物事が破綻する。其処に至って、初めて針治療という選択する患者も少なくない事から、様々な物事が破綻した状態である以上、心身共に余裕も失われているケースも多く、発症後、随分と時間も経っている。
どうしても発症時期によって治療回数というのは変動する側面があり、当たり前だが早期であれば早期であるほど治り易いものだが、如何せん、様々な事を経験してきた患者は焦燥感に溢れ、気持ちが落ち着かないものである。「針治療に来る患者は後がない患者でしょ」なんて患者から言われる場合もあるのだが、事実そうかもしれないが、後がない故に余裕までないのである。
さて、針治療の適応疾患は相当広い事は以前書き、相当広いと言う事を大上段に構えて見るのではなく、それは既存の病態定義や病態把握が異なるだけであった事実を現場を通して見てしまった私は相当凹んだ事を書いた。針治療というシンプルな作用機序で症状の改善が得られるという事、そして凡ゆる症状が世の中には存在するが、凡ゆる症状が針治療で改善するという事は、症状の発症起因は患者の内外因の環境因子によって齎される、日常生活に起因している由来なのである。腰部痛を堪えた結果、下肢痛や腰部神経由来の自律神経症状へ発展した。肩背部痛を堪えた結果、上肢痛や頸部神経由来の自律神経症状へ発展した。別にそれは不思議な事ではない。
勿論、生まれ持っての骨格の脆弱性や奇形や、今現在の筋量や労働内容や人間関係や、凡ゆる起因因子に対しての精神面での耐性によっても左右されてくる問題もあるかもしれない。それを個別に薬で抑え続けた事も問題かもしれないし、我慢し続けた事も問題かもしれない。それでも、人間は生きる為には時として我慢せざるを得ないケースとてあるだろうから、そこを問題視してもキリがない側面はあるかもしれないが、我慢をする為に治癒と逆行する、蓋をし続ける状況を日々送り続けたツケというのはどうしても回ってくるものである。
では、此処まで鑑み、初めて治療という価値に対して見えてくるものかもしれない。術者側のステータスの1つに平均治療回数というものが存在する。保険外治療をメインに行っている院の場合であれば、そこを如何に上げていくか、そして適切な受療スパンを見極められるかが最も患者側が恩恵を受けられる事になる。無駄打ちしない、無駄に通わせないという話になるのだが、先ほどの事実ベースと商業ベースは同業界とてマヨネーズのように混在しており、保険治療の場合は財源を搾り取るかの如くの通院感覚であり、取り敢えず生きてればOKというものである。
前例が無いとか、保険制度上の問題でとか、ガイドライン上ではとかと言うのは、術者の患者に対しての免責依頼のようなものであり、「年だから」「更年期」「思春期」「気のせい」「精神疾患」と言うのも術者のキャパ超え故の発言である。1つ残念な事があり、これは私の単なる幻想であったのかもしれないが、同業界とてこれらの単語を用いている所が少なくないようだ。私はてっきり医者しか用いていないと思っており、同業界であれば積極的に患者と接していたのだとばかり勘違いしていた。
アソコでもココでも「年だから」扱いされていれば、患者も「年だから」と諦めてしまうのではないだろうか。そして、結果的には強い力価を持つ薬物に走る事になり、甚大な副作用が出たとしても「年だから」扱いされているのは非常に偲びないものである。今まで商業ベースの言葉が耳に馴染んだ患者が事実ベースの話を信じるか信じないかは別であるが、せめて人間の身体を扱う業界に於いては事実ベースで患者と接しなければ自身も生きていて気持ち良いものではないだろう。

  
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罹患者数の問題なのか、若しくは頸部痛のような他部位の場合は一応は移動を伴う事が出来る為に当該機関へコンタクトを中々取らない為にカウントされない為かは分からないが、「腰痛」に対しての認知行動療法と言うものが目立つようになり久しい。世間一般での薬物治療として、NSAIDs、アセトアミノフェン、筋弛緩薬、抗不安薬抗うつ薬オピオイド等が知られ、単剤若しくは複合的に用いられているものではある。
向精神薬の部類に含まれる、若しくは含んでも良いと思われる筋弛緩薬や、抗不安薬抗うつ薬、他、患者によってはアルコールと言う手段もあるだろう。罹患者数の多さなのかプロモーションの上手さなのか分からないが、「向精神薬が腰部痛に効く」と言う観念を持つ患者も多いかもしれないが、「向精神薬が腰部痛に効く」と言う根拠は何処にもなく、「向精神薬は脳を抑えてしまうから効いた感覚になる」が正しく、別に何処も治してはいない。寧ろ、何処かが破壊されている。
それを腰部と言う小さなスポットで見たら治していないし、脳と言う部分が破壊されているかもしれないが、患者=人間と言うエリアで見たら、一時的なりにも疼痛回避する事によって、社会との接点が再度繋がり、それは自身の腰部や脳を犠牲にしても生まれるメリットと言うのも有るかもしれない。それが、薬物擁護、薬物治療推進派、向精神薬推進派、精神医療推進派の意見でもあるかもしれない。
古い医者がボルタレンを3倍飲めと患者に勧め結果を出していたところ、上司の機嫌を損ねてクビになった人を知っているが、まぁそこのところはアトピーや痛み止めの名医と言われている医者が多量のステロイドを投与している(いた)と言う側面と似ているところから患者のニーズと言うのは即時的、短期的な視野である事には変わらない。
結果、今でこそ鎮痛剤や向精神薬の多剤投与やステロイドの多量投与は眉間に皺を寄せられる行為になってしまったかもしれないが、その裏側では、今でも患者個人間で鎮痛剤や向精神薬の売買の他、リタリンの再承認をするようにと小さな活動を行っている人間もいる。
そのような状況を見る限り、薬物云々と言うリスキーさは元より過去の味わった欲求を満たす材料に薬物と言うのは使用されているだけで、単にケーキやコーラやドーナツと同様、自身の欲求を満たす材料と言う価値でしかない。今更ながら、分かりきった話をするのにも訳があり、現状の薬物の使用価値と言うものは、救急救命でもない、極めて高エネルギーが伴った外傷や裂傷、熱傷でもない、そのような生きるか死ぬかでもなく、ドーピング検査がない競技大会を毎日送るような生活を送っている人間ではなく、
明日も明後日もルーチンを繰り返す人間と言うのが大半であり、その日常を過ごす為に、救急救命や高エネルギー外傷時と同様な薬物を、そのまま移行させ、使用している状況と言うのは非常に怖い。日常故に、管理も出来ない。管理も出来ない環境だから、時として乱用も起きる。管理の手が入る状況に道を作ってしまえば製薬メーカーとて簡単に潰れる。だから多くの傷病に対して承認を受けて販売し続ける。国に営業を掛ける。国が営業にノレば、その下にいる多くの存在もノル事になる。
抗がん剤を使わなかった「から」、放射線治療をしなかった「から」、手術をしなかった「から」、患者が死んだ。そんな標準治療をしなかった患者と患者家族は時に犯罪者のような目で医者に見られるが、抗がん剤放射線治療や手術をして死んだ場合と死んだ患者の事はどうでも良いのだろうか。結局は、どんな症状であれ傷病であれ、治し方なんて、どのような手段でも良いのだ。
向精神薬と言う存在も、認知行動療法と言う存在も、単に現代医療の薬物治療を始めとした保存的治療や観血的治療も含めて改善に至らせるケースが難しかった故に、原因を患者の脳に責任を擦り付け、精神異常とさせてしまったに過ぎない。
飯を食って寝て治すと言う原始的な手段を奪ったのが医療なのだから、そのツケの尻拭い位はしてもらいたいのだが、既に尻拭い出来ない程に患者の症状は凶暴化している。結局はそれすらも薬物で押さえ込もうとしているに過ぎないのも、また医療である。それに気付けるキッカケを医療は教えてくれない。だから患者が気付くしかない。

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  ~針治療から病態定義の見直しを~