藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

「合う」「合わない」という考え方


鍼灸治療も含め、侵襲行為を伴う医療(手術や薬)や食事は、
身体に対して直接的な影響を及ぼす行為です。
作用を引き起こす以上、副作用もあります。
 
世間一般では鍼灸治療には副作用が無いという概念が罷り通っている節がありますが、
鍼灸治療にも副作用はあります。副作用の出方や出易い方々というのも症状により異なるので
この場では明記致しませんが、鎮痛剤を飲んで胃腸に穴が開くとか、
向精神薬錐体外路症状が出るとかのレベルではないので、
それに比べたら大した事はないと思います。
 
一過性で眠くなったり倦怠感を覚えたり、症状の発症箇所や度合いによっては
原発箇所に症状が集束していく過程で過去の痛みを覚えたりとかの程度です。
飲んでいる薬や栄養偏重等々により鍼灸治療後に特異的な症状を呈する可能性のある方もいます。
【治療理念】を見てください。念のため、コピペしておきます。
 
2)精神科領域に於ける薬物使用患者、及び、過去に精神科領域の薬物を使用していた患者、
  各種事情によりステロイド免疫抑制剤含む)を使用している患者、
  各種事情によりステロイド免疫抑制剤含む)を使用していた患者、
  低血糖様症状を呈している患者、低血糖様症状を過去に呈していた患者、
  各種栄養の欠乏及び偏重を呈している患者、各種栄養の欠乏及び偏重を呈していた患者は
  治療後に以下の症状が引き起こされる可能性が高まりますので留意頂きたく思います
 
   A 抗精神病薬抗うつ薬抗不安薬睡眠薬、抗てんかん薬、中枢神経刺激薬等々を
     現在服用中、もしくは減薬中、及び断薬間もない頃に関しては、薬の反応により、
     脳の神経伝達物質が不全状態に陥っています。主に、減薬中、断薬間もない方に関しては、
     鍼灸治療による脳の血流量増大により、一時的に離脱症状を強く発する可能性があります。
 
   B 外用薬、内服薬問わず、ステロイドを使用している患者(主に過去に使用していた患者群)に
     関しては、副腎皮質から分泌される糖質コルチコイド(抗炎症ホルモン)の分泌量が健常者よりも
     少なくなっている為に、鍼灸治療で生じる微小な炎症を通常よりも抑制し難い身体環境です。
     この事により、通常は2~3日で収束する鍼灸治療による炎症反応~治癒過程が、
     延長される可能性もあります。
 
3) 上述した2)のA及びBに関連する内容ともなりますが、
   薬物の使用の有無に関わらず、受療日の体調、年齢、体力、症状の発症範囲、症状の度合い、
   日常的に高緊張状態に曝されている方、日常的に糖質摂取の多い方、アルコール摂取量の多い方に
   関しては、治療後に身体がダルイ、頭がボーっとする、フワフワする、鍼を打った箇所が引っ張られる
   感覚に数日苛まれる可能性が高まります。但し、数日でこれらの反応は全て収まります。
  
4)過去から現在に掛けて、強圧による指圧やマッサージを受け続けてこられた方、
  筋線維の微小な断裂~血腫形成が頻繁に繰り返され、筋肉の柔軟性が失われ、
  各種当該関節~各種当該筋肉の伸張短縮の状態が不全状態に陥った結果、
  疼痛を生じている方の刺鍼箇所は通常よりも増える可能性があります。
    他、手術にて身体にメスが入り、表層~深層の軟部組織に癒着を生じている方、
  廃用性筋萎縮も該当します。及び、鎮痛剤の長期服用により疼痛を免れていた方、

「合う、合わない」という言葉を様々な場面で聞くと思います。
「あの人と波長が合う、合わない」「仕事が私には合う、合わない」
「相性が合う、合わない」等々。
 
鍼灸治療に関しても言われていると思います。
「私には鍼灸治療が合う、合わない」「私にはマッサージが合う、合わない」
食事の面に関しても同様だと思います。
「私には糖質制限が合う、合わない」「私にはカロリー制限が合う、合わない」
 
「合う」「合わない」と表現する背景には様々な理由があると思います。
基礎疾患により禁忌者も現実問題として存在しますので、
それらが生じている場合に関しては「合う」「合わない」というレベルの話ではなく、
「実行しては駄目」という話なのですが、では、「合う」「合わない」の中の、
否定的、拒否的な意見である「合わない」と
発する方々の話をイメージしてみて下さい。
「合う」「合わない」の理由って理由になっていますでしょうか。
単に「好き」か「嫌い」で判断しているケースが多いのではないでしょうか。
 
では、次に極端な例ですが1つ挙げてみます。
私の名前は「藤原 航太」ですが、本当の名前は「山田 太郎」だとしたら。
33年間付き合ってきた名前が、実は「山田 太郎」だったと誰かに言われたら、
恐らく絶対に信じないでしょうし、動揺するでしょうし、
戸籍謄本でも見に行くかもしれません(笑)
 
でも、医療・健康分野では、引っくり返るような出来事は日常茶飯事です。
で、いきなり目の前でそのような引っくり返るような事を言われたら、
信じないし、動揺するし、本を漁るかもしれません。
整形外科学の本を読んでも
椎間板ヘルニアが原因で足腰が痛いんだよ」としか書いていない。
栄養学の本を読んでも「炭水化物を60%食べろよ」としか書いていない。
 
引っ繰り返すようにインターネットで漁ってみたら、僅かながらに情報が載っていた。
しかし、この人は誰やねんみたいな人間が、エラい手作り感満載のHPで感情むき出しで書いている。
何か怪しい…、信用して良いのか…、何でこんなに勤務先を転々した後に開業してんのか…、
人格に問題があるのか…、奥さん子供はいるのか…、カツラか…、切手を沢山…、温泉…、
なんて要らない事まで考えてしまい、画面右上の×印を押してしまいたくなるのですが、
新しい事をしようとしている人間は大体金が無いし、熱っぽいし、押し付けがましいんですわ。
 
…冗談はさて置き、私達が情報を取捨選択する上で重要になってくるのは、
感情論や精神論、根性論で成立させようとする理論の徹底的な排除です。
肯定否定するにも理由は必要です。
善くも悪くも僅かでも可能性のある話には絶対という言葉も使えません。
私は世の中の1%の事も知りません。だから、絶対という言葉は使えないでしょう。絶対に。
 
糖質制限食という食事療法があります。文字通り、糖質を制限する食事ですが、
糖質制限食以上に、更に糖質を制限し、脂質の摂取量を高めたケトン食というのが世には存在します。
糖質制限食もケトン食も時代や提唱する人間によって摂取の割り合いは違いますけど、
恐らく、移住生活を送り続けた遥か昔、動物を追い掛け回して狩をしていた時代の食生活というのは、
ケトン食に近かったのではないかと推察しています。ケトン食の概要を少し触れますと、

ケトン食の基本は、主食の糖質を極力減らすことです。
糖質の1日摂取量は40g以下を目標にします。
1回の食事につき糖質が20gを超えないようにします。
ご飯・パン・麺類・芋類は糖質が豊富なので摂らないようにします。
果糖の多い甘い果物も避けます。果糖も体内でブドウ糖に変換されるからです。
糖質を食べるにしても、玄米や全粒粉小麦など精製度の低い炭水化物を少量食べます。

ご飯1杯(約150g)には約50gの糖質が含まれます。コンビニのおにぎり1個で糖質は約30g、
食パン1枚で糖質は約20gが含まれます。基本的にご飯やパンや麺類は食べないようにします。
 
蛋白質は体重1kg当たり1〜2gを摂取します。
体重60kgで60g〜120gです。
タンパク源としてはがんを促進する赤身の肉(牛肉など)は控え、
大豆製食品(豆腐や納豆)や魚や卵や鶏肉などを利用します。
豆の中では大豆は糖質含量が少ないので、豆腐や納豆や湯葉など大豆製品は有用です。
ただし、豆腐で100g当たり1〜2g程度、納豆は100g当たり10g程度の糖質を含みますので、
それを計算に入れておきます。肉や魚は生の100gで10〜20g程度の蛋白質を含みます。  

食品中の栄養素の含有量は文部科学省がインターネットで提供している
「食品成分データベース(http://fooddb.jp/)」を参考にします。
個々の食品がどの程度の糖質を含むかを日頃から確認しておくと食事の参考になります。
野菜や果物にも種類によってかなり糖質が含まれているので、注意が必要です。  

加工した食品には栄養表示があるので、
炭水化物や脂肪や蛋白質がどの程度含まれているか確認しておきます。
主食を一切省いても、大豆や野菜などにも糖質はある程度含まれています。
食品の栄養表示をみながら、糖質の摂取を極力減らし、
1日の糖質の摂取量が40グラムを超えないように注意します。

総合ビタミン剤などのサプリメントでも糖を入っていないものを選びます。
ブドウ糖が十分に供給されていると、
脂肪酸の分解でアセチルCoAが増えてもTCA回路で代謝されるので、ケトン体は増えません。
肝臓ですぐに分解される中鎖脂肪酸を利用すると、脂肪の割合を60%程度に減らし、
糖質を1日40〜60g程度摂取してもケトン体を大量に産生することができます。

中鎖脂肪を多く摂取して、脂肪:糖質+蛋白質の比率を1.5:1、
つまり食事の60%を脂肪にするという食事を目標にします。
糖質を40g、蛋白質を80g摂取するとカロリーは480キロカロリーになります。
糖質+蛋白質の120gの1.5倍の脂肪は180gで、これは1620キロカロリーになります。
 
全てを合わせて2100キロカロリーになります。
カロリーは制限する必要はありませんが、過剰に摂取することは意味がありません。
必要最小限のカロリー摂取を目標にします。
(摂取カロリー比率で計算すると脂肪からの摂取カロリーは70〜80%になります) 
 
中鎖脂肪はココナッツオイルや精製した中鎖脂肪(マクトンオイルやMCTオイル)を
1日60〜90gを目標に摂取します。キッセイ薬品のマクトンオイル(MCT85%)や
日清オイリオ社のMCTオイルは無味無臭で、いろんな食品に添加して利用できます。
 
調理にはオリーブオイルを用い、
ドレッシングにはグレープシードオイルや亜麻仁油や紫蘇油を多めに使います。

亜麻仁油と紫蘇油はがん予防効果があるω3不飽和脂肪酸のα-リノレン酸を多く含みます。
魚の油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)も
ω3不飽和脂肪酸DHAEPA)で、がん細胞の増殖を抑える効果があります。
魚を食べる場合は、焼き魚は脂肪が減るので、刺身や煮付けや唐揚げがケトン食では適しています。
 
食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富で糖質の少ないキノコやモズクなどの海藻やおからを
食材に使用することも有用です。炭水化物には食物繊維と糖質が含まれますが、
食物繊維はいくら食べても問題ありません。食物繊維は腸内環境を良くし便秘を防ぎます。
 
脂肪をグリセロールと脂肪酸に分解する消化酵素のリパーゼの製剤を
脂肪の多い食事の後に服用すると、さらに脂肪酸代謝を促進します。
 
野菜には抗酸化作用や免疫増強作用やがん細胞の増殖や
血管新生を阻害する成分が多く見つかっています。
このような抗がん作用をもつ成分を多く含む野菜をジュースなどにして多く摂取すると
抗がん作用を高めることができます。ただし、糖質が多い野菜は摂取量を制限する必要があります。

例えば、がん予防効果が知られているニンジン、ブロッコリー、パセリ、タマネギなども
100グラム当たり6グラム以上の糖質を含んでいます。レモンやグレープフルーツでも
100グラム当たり8〜10グラムの糖質を含みます。リンゴやブドウや梨は100グラム当たり
10グラム以上の糖質を含み、バナナは100グラム当たり20グラム以上の糖質を含みます。

がんに野菜や果物が良いという考えが普及していますが、糖質の多いものは避けることが大切です。  
お茶やコーヒーには糖質は含まれていませんが、野菜や果物のジュースにはかなり糖質が
含まれているものもありますので、市販の製品の場合は食品表示を確認し、
自分で作る場合は食品成分データベースで糖質含量を確認しておくことが大切です。
 
ケトン食を始めてしばらくは代謝が変わるので、空腹感やパワーがでない感じが起こりますが、
1週間もすれば慣れてきて、運動も普通にできます。脂肪が燃焼しやすい体になるからです
最初は糖質を40グラム程度を目標にしますが、体が慣れてくると
糖質を20グラム程度まで減らすとさらにケトン体を多く出すことができます。

尿中のケトン体をケトスティックスで時々測定して、尿中ケトン体が出ていることを確認しておきます。
中鎖脂肪の多い食事をすると2〜3時間後に尿を測定するとケトン体が出ているのが確認できます。  
中鎖脂肪酸カルニチンがなくても肝細胞のミトコンドリアに取り込まれますが、
長鎖脂肪酸カルニチンが必要です。サプリメントカルニチンを摂取することも有用です。

アルコールは糖質の少ないウイスキーや焼酎や糖質フリーの発泡酒などであれば、
糖質制限の観点では問題ありませんが、アルコール自体ががん細胞の増殖を刺激しますので、
がん患者さんは、アルコールの摂取はできるだけ控えるべきです。  
 
以上のような体内のケトン体産生をわざと増やすような食事療法を行うと、
最初の1週間くらいは、脂肪が多いと食後に腹痛がきたり、下痢になったり、倦怠感が出てきます。
食物繊維が少ないと食物残査が少ないので便秘になります。
しかし、食物繊維を多く摂取し消化酵素を利用すると、不快な胃腸症状はほとんど経験しなくなります。
ケトン食に慣れてくるのに1〜2週間くらいかかりますが、
体が脂肪が燃焼する状況になれば後は楽です。
 
糖質を10グラムくらいに減らしても、脂肪を150〜200グラムくらいで普通に生活できます。
少しづつ糖質を減らしていく方がやりやすいと思います。
 
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