藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

思考に余白を作っておく重要性

ガイドライン 治療」でネットを検索すると、
各種医学会のガイドラインを発見することが出来ます。
日本神経学会、日本胃癌学会、糖尿病学会、日本皮膚科学会
日本高血圧学会、日本動脈硬化学会等々、ガイドラインを作っている学会がたくさんあります。
 
そもそもガイドラインとは何の目的で作られているのでしょうか。
一番の目的は「治療の標準化」ということで、医師免許を取ったばかりの医者を含め、
医療の進歩に取り残される恐れのある一般開業医にも、
「最新の医療」が出来るようにという「医師への治療法支援策」と考えられます。
 
ガイドラインに沿って治療していれば、それが最高の治療だ」と医者も患者も思い違いをしてしまうことです。
あくまで「標準」であって、「もっと進んだ治療法もあるけれど、開業医等充分な設備を持っていなくても
可能な範囲の治療」なのです。しかも同じ病気で、同じ症状なら治療法はほぼ同じです。
同じ病気、症状であっても、人間100人いれば100通りの治療法がある筈です。
 
さらに大きな問題は、「ガイドラインが免罪符になってしまう」ことです。
 
不幸にして医療事故が発生した場合にも、「ガイドラインに沿って治療していたから、手落ちはないのだ」
という主張が通ってしまうことです。例え医療裁判になった場合でも、
ガイドラインに沿って治療していれば「当該学会」が弁護・援助してくれるのです。
何て言うことはない、「医者を守るためのガイドライン」なのです。
 
もうひとつガイドラインの「悲劇」は、医療の進歩がなくなるということです。
医療は、多くの市井の先駆的医者の新しい発想と、経験と技術の積み重ねで進歩してきました。
現在では「拘束はしない」とは言え、ガイドラインを逸脱した診療は、
よほど「腕に自信のある医者」以外は行なわないし、
それを行なうのは「大学病院」での「実験的医療」に限られてしまっています。
 
ただ医者ばかりを責めるわけには行きません。
医療訴訟の頻発で、高騰する損害保険料が払え切れずに、
廃業する医者が続出しているとのアメリカからの報道もあります。
医療改革などという「政治的言葉の弄び」ではなく、
マスコミを含めた国民的叡智を結集しなければ、医療が崩壊する「医療クライシス」が目の前です。


手術や薬物治療、鍼灸治療を選択するのも、他、様々な治療法を選択するのも、
全ては患者個々人の過去から現在に掛けて蓄積してきた知識や書籍、ネット、
周囲の方々より集めた情報を元に判断する事になると思います。
 
但し、間違いを見抜けぬ限り、泥沼に嵌る事は過去に沢山書いてきました。
一般の方が目に通す、若しくは目に入り易い情報の何処に落とし穴があるか。少し触れてみましょう。


ヒトの神経には、脳からの命令を手足に伝える役目を担っている運動神経と、
手足や体の各部からの知覚情報(熱い・痛いなどの感覚)を脳に伝える知覚神経があります。
これらの神経は人体の中心部では背骨の中の空間(脊柱管とよばれます)に
保護されるような形で存在しています。この部分の神経は脊髄と名付けられています、
頸部の脊髄からは手や肩に向かう神経が枝分かれしており、神経根と呼ばれています。
各神経根は比較的狭い骨の間隙(椎間孔と呼ばれます)を通って手や肩に向かっています。
頸部のところで脊髄を中に納めている骨は頸椎と呼ばれます。
頸椎は全部で7つあり、上から順に第一頸椎、第二頸椎と名付けられます。
各頸椎間には椎間板と呼ばれる組織があります。この椎間板は上下の頸椎を連結していますが、
ある程度の弾力があります。
この椎間板の組織がこわれて脊髄や神経根が急激に圧迫されて出現する症状が頸椎椎間板ヘルニアです。


ヒトの神経には、脳からの命令を手足や身体各部に伝える運動神経と、
身体各部からの知覚情報(熱い・痛いなどの感覚)を脳へと伝える知覚神経があります。
腰椎は5個あり上から順に第一腰椎・第二腰椎と名付けられています。
さきほどの神経はこの5個の腰椎が縦に並んでできている管(脊柱管と呼ばれます)の中におさまっています。第二腰椎より下の部分では神経は馬の尻尾のように縦に並んでおり(脊髄馬尾と呼ばれます)、
この脊髄馬尾神経はそれぞれの腰椎のところで順次左右一対ずつ枝分かれして、下肢へと向かいます。
これら5個の腰椎は幾つかの靱帯や椎間板と呼ばれる一種のクッションのような働きをする
組織によりつながれています。この椎間板は正常ではかなりの弾性を有しており、
腰椎を支えるとともに、この椎間板のおかげで腰椎はある程度前後左右に運動することが可能になっています。
この椎間板はもう少し詳しくみてみますと、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、
中心部に含まれるかなり軟らかい髄核とよばれる構造物から成り立っています。
この椎間板のうち線維輪が弱くなって全体として膨隆したり、線維輪が断裂して中の髄核が脱出したりして、
近傍にある神経を圧迫するようになったものが腰椎椎間板ヘルニアです。
通常は腰痛やいわゆる「ぎっくり腰」のような症状が数日みられます。
これに続いて一側の下肢へと放散する激しい痛みが生じます。
この痛みは激烈なものが多く、数日はほとんど満足に動けないことも多く、
睡眠も妨げられるほどです。しかしながらこの痛みは2-3週間でピークを迎えることが多く、
その後は下肢へと放散する鈍痛がみられ、徐々にこれが薄らぐという経過をとります。
典型的な場合には症状は一側下肢のみに限局しますが、時には両下肢が痛んだり、
排尿排便障害がみられることもあります。


この文章の中で、誤りは見つけられますでしょうか。
この文章は誤りであるという知識を患者が有していれば、
整形外科が標榜している保存療法の誤りと矛盾にも気づけると思います。
 
保存的療法としては、安静・腰椎コルセットの装着・腰椎牽引や腰部マッサージなどが行われます。
痛みが高度の場合には腰部硬膜外神経ブロックなどの鎮痛を目的とした治療法も行われます。
内服薬としては、鎮痛消炎剤・筋弛緩剤・ビタミン剤などが投与されます。


恐らく、患者が調べる資料の大半は上記のような記述内容になっているかと思います。
何故なら、患者の思考が「頚椎椎間板ヘルニア」「腰椎椎間板ヘルニア」になっているからです。
何処の段階で頭を切り替えられるかで、症状の度合いや治癒までの期間が異なってきます。
 
発症時から治療を介入させる期間、発症の度合い、年齢や基礎体力、
栄養状態も回復までの要因とはなりますが、簡単に書けば、
安静にしても良くならないし、コルセットを巻いても痛いものは痛いし、
牽引やマッサージで悪化したという人もいるし、
ブロックも効かないか、効いても2時間だったり、
薬飲んでも効かないとか、副作用が強くて飲めないとか、
薬が効いてても数ヶ月間飲み続けたら、薬に耐性が出来て、
気づいた頃には歩けない位に痛くなっていたなんてケースは山ほどありますね。
 
大方の患者は整形外科が標榜している保存療法を行っても駄目、
手術しても駄目という段階で頭が切り替わります。
但し、その頃には相当重症化しているものです。
 
考え方を変えましょう。
椎間板ヘルニアと診断された時点で、
椎間板ヘルニアが現在の腰下肢痛を発症しているのか?」と考える事が先ずは必要です。
常に頭には余白を持ち、情報を鵜呑みにしない事が大切です。


では、次に分離すべり症を見てみましょう。
腰痛(腰のベルトのあたりの痛み)の場合と、お尻や太腿の痛みを出す場合があります。
痛みは腰椎を後ろにそらせた時に強くなります。
腰痛は10~15歳ころから生じますが、
青少年から高齢者まで広い範囲にわたって腰痛や下肢痛・しびれが出ます。
分離症の診断は側面や斜めのX線(レントゲン)像で行います。
分離すべり症では脊柱管(馬尾神経が入っている部分)は狭くならないのでMRIでははっきりしません。
分離部分で神経根が圧迫されていることが多く、神経根ブロックで明らかにする場合もあります。
分離症があっても強い痛みや日常生活の障害なく生活できる場合が大部分です。
腹筋・背筋を強化して、一般的な腰痛予防を心がけます。
腰痛や神経根圧迫によるお尻や下肢の痛みで日常生活や仕事に支障が生じれば、
神経の圧迫を除去する手術や固定術が行われます。


梨状筋症候群も見てみましょう。
 
ランニングなどのトレーニング中、坐骨神経痛が出現し、
特に股関節を内旋すると臀部が痛むという選手への対処をときどき質問されます。
股関節の動きのなかで特に複雑で、かつ微力なものに回旋(内外旋)運動があります。
股関節を内旋すると痛む場合は外旋筋群が硬くなっており、
その下にある坐骨神経が圧迫されている可能性があります。
このような疾患を梨状筋症候群 (Piriformis syndrome)といいます。
臀部坐骨神経周辺の解剖は複雑ですが、解剖図を参考にしてください。
原因は梨状筋の走行異常に起因している場合が多いようです。


膝OA
男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。
主な症状は膝の痛みと水がたまることです。
初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、
正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、
膝がピンと伸びず歩行が困難になります。
原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や素因(遺伝子)も関与しています。
また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。
加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形します。
症状が軽い場合は痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。
また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、
膝を温めたりする物理療法を行います。足底板や膝装具を作成することもあります。


この3点も最もらしい事が書かれていますが、理論が破綻している点に気づきますでしょうか。
何でこのような誤りが書かれ続けているかと言えば、論じている方々も整形外科学から
派生されているからです。問題なのは、論じている本人も誤っていると気づいていない点です。
但し、少し視点を変えれば脆弱性のある理論である事に気付く事が出来ると思います。


つり革につかまる時や、物干しの時のように腕を挙げる動作で上肢のしびれや肩や腕、
肩甲骨周囲の痛みが生じます。また、前腕尺側と手の小指側に沿ってうずくような、
ときには刺すような痛みと、しびれ感、ビリビリ感などの感覚障害に加え、
手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状があります。
手指の運動障害や握力低下のある例では、手内筋の萎縮(いしゅく)により手の甲の骨の間がへこみ、
手のひらの小指側のもりあがり(小指球筋)がやせてきます。
鎖骨下動脈が圧迫されると、上肢の血行が悪くなって腕は白っぽくなり、痛みが生じます。
鎖骨下静脈が圧迫されると、手・腕は静脈血のもどりが悪くなり青紫色になります。
上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する
腕神経叢(通常脊髄から出て来る第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成される)と
鎖骨下動脈は、①前斜角筋と中斜角筋の間、②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、
③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、それぞれの部位で絞めつけられたり、
圧迫されたりする可能性があります。
その絞扼(こうやく)部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と
呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。
胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上肢のしびれ、
頚肩腕痛(けいけんわんつう)を生じる疾患の一つです。頚肋(けいろく)は原因の一つです。


腰部脊柱管狭窄症
この病気では長い距離を続けて歩くことができません。
もっとも特徴的な症状は、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。
腰部脊柱管狭窄症では腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、
背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。
しかし、すこし前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは軽減されます。
進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出がわるくなったり、
逆に尿が漏れる事もあります。
加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変形した椎間板と、
背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。
脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。
年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯が厚くなって神経の通る脊柱管を狭くなって、
それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。
椎間板ヘルニアに比べ中高年に発症することが多いようです。また背骨を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり、
前に曲げると広がるので、間歇性跛行が起こるのです。


胸郭出口症候群や腰部脊柱管狭窄症の説明が、他と異なる理論が若干交えられています。
全く同じ症状を呈している場合であっても、診断名によって異なる薬が処方されるケースもあります。
それは何故でしょうか。そして、主症状の発症要因となる部分を確認すれば、
どの患者も似たり寄ったりな状況から症状が始まっているのが確認出来ます。
 
この他にも沢山あるのですが、紹介しきれないのでこれ位で。
ここで勘違いしないで頂きたい点としては、画像所見より告げられる診断名は正しいです。
例えば、椎間板ヘルニアであれば「椎間板ヘルニア」、
分離・すべり症であれば「分離・すべり症」、
変形性膝関節症であれば「変形性膝関節症」で間違いはありません。
但し、そのように診断された診断名と、発痛要因は異なるという事ですね。
器質的異常が生じた事に関しては気の毒な事かと思いますが、
発痛原因は異なる為に、診断名に固執する必要はありません。
 
診断を告げられる事で人生に一つの価値を得る人も中にはいます。
「ヘルニアで足腰が痛くて…」
「狭窄症で足腰が痛くて…」
「軟骨が磨り減っているから膝が痛くて…」
但し、残念ながらこれらの病名の価値はゼロです。
そんな病名糞喰らえでいいじゃない。
 
何でヘルニアが神経を圧迫して痛みが出るのでしょうか。
何で脊柱が磨り減ってヘルニアを圧迫して痛みが出るのでしょうか。
何で膝軟骨が磨り減って痛みが出るのでしょうか。
痛む理由を考えた事はあるでしょうか。
但し、答えは見つからないと思います。
何故ならそこには答えがないからです。
 
患者から発せられる言葉は気持ち的に分からんでもないですが、全て誤りであり解釈違いです。
そして、その解釈違いを擦り込ませたのは整形外科かもしれませんし、
何処かの自称物知りオッちゃんや物知りオバちゃんが擦り込ませたのかもしれません。
 
幾らブロック注射をしてもヒアルロン酸を注射しても良くならないのは何故でしょうか。
医師の腕が悪い訳でもなく、ブロック注射やヒアルロン酸が悪い訳でもなく、
根本的な原因を間違えているから治療内容も初っ端からアプローチを間違えているのです。
 
「何か間違えているんじゃないか?」
 
整形外科の待合室で、このような患者を見ているアナタ自身が一番気付いているのではないかと思います。


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このガイドラインにも誤りがあります。
そして、現在では腰痛患者の85%が原因不明と言われています↓

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ここまで読んでいただければ、このグラフが誤っている事にも気付きますでしょうか。
世の中、間違いだらけかもしれません。勿論、100%の医療も存在しません。
 
但し、原因が分からないからと、脳に働きかける薬物で何とかしてしまおうぜという昨今の流れには反対です。
仮に薬に恩恵を受けたところで、中長期的に見た場合、相応の弊害が生じるのは目に見えています。
資本力で形成された世間のマジョリティな意見で、嘘も真実へと変貌します。
但し、幾ら様々な理屈が罷り通ろうが、患者の身体で起きている事実が変貌する事はありません。
今に患者側が誤りである事を暴いてくれることでしょう。そして私も動き続けます。
 
そもそも論として、原因不明なのに何で薬は出すのかしら?
誰の利益の為なのか?患者にとっての利益なのか?国民にとって有益な事なのか?
それもこれも良くならなくても、「ガイドラインに沿って治療していたから、手落ちはないのだ」的なね

 
 
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