藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

変形性膝関節症(内則型)患者に対する外則楔足底板の効果

Original Investigation |

Lateral Wedge Insoles as a Conservative Treatment for Pain in Patients With Medial Knee Osteoarthritis:  A Meta-analysis

Matthew J. Parkes, BSc1; Nasimah Maricar, MSc1; Mark Lunt, PhD1; Michael P. LaValley, PhD2; Richard K. Jones, PhD1,3; Neil A. Segal, MD4; Kayoko Takahashi-Narita, ScD5; David T. Felson, MD, MPH1,6,7
 
1Arthritis Research UK Epidemiology Unit, Faculty of Medical and Human Sciences, Manchester Academic Health Science Centre, University of Manchester, Manchester, England
2Department of Biostatistics, School of Public Health, Boston University, Boston, Massachusetts
3School of Health Sciences, University of Salford, Salford, England
4Departments of Orthopedics and Rehabilitation, Radiology, and Epidemiology, University of Iowa, Iowa City
5Department of Occupational Therapy, Kitasato University, Kanagawa, Japan
6Clinical Epidemiology Unit, School of Medicine, Boston University, Boston, Massachusetts
7NIHR Manchester Musculoskeletal Biomedical Research Unit, Central Manchester NHS Foundation Trust, Manchester Academic Health Sciences Centre, Manchester, England
JAMA. 2013;310(7):722-730. doi:10.1001/jama.2013.243229.
Published online

変形性膝関節症(内則型)患者に対する外則楔足底板の効果を調べた、
メタアナリシス研究で、指示するようなエビデンスは認められなかったと報告されています。

この研究結果以前に、未だこのような無意味な治療が行われていたかと驚きました。
以前にも同様の報告はありましたが、整形外科の医師達は懲りないようです。

簡単に述べますと。
12件の研究の合計885名中、外則楔足底板を使用して選択基準を満たした502名を対象。

コントロールと比較した標準化平均差は (SMD,-0.47; 95% CI, -0.80 to -0.14)と、
一定の効果は見られました。しかし、通常の靴との比較でバイアスの存在が問題であることや、
ブラインド化されていない、フラットな足底板との比較がされていないなど不十分であることから、
エビデンスは認められませんでした。

日本国内では、効果があったとする報告も以前には見ましたが、質の低い研究ばかりでした。

知らない方のために、足底板について少し説明します。

変形性膝関節症では、その多くが内則の軟骨が障害されます(日本ではほとんどが内則型)。
軟骨が潰れてしまいますと内則の関節の隙間がなくなりますので、大腿から下腿にかけて内側へと傾きます。   このような足を見ますと、膝が外側へと向かってO脚のようになります。

膝がこのように変形することでその潰れた内則部分に加重がかかり、
さらに痛みが増強すると考えられています。この治療法として考えられたのが「外則楔足底板」です。
楔状の足底板をカカトの外側が高くなるように差し込むことで足の外側が持ち上がり、
これを調整するために膝が内則方向へ入ると期待したのです。
これによって、加重が関節全体に均等に加わることで負担を軽減できると考えた訳です。

しかし、これは机上の論理であると思われます。

私の経験と推測を書きます。
立った状態で、上半身を固定して足の外側を少し持ち上げて見てください。
そうしますと、膝が内側へと動くのが見えます。
しかし、足底板のような物を踵の外下に差し込んでみましても、このような変化は起きません。
何故でしょう。

自分の力で足の外側を持ち上げようとしますと、連動して膝も内側へ動きます。
しかし、物を挟むことは同じではありません。
足底板の厚さ程度の変化では足関節のレベルで吸収してしまい、
膝関節を中心とするアライメントにはさほどの変化は起きない。したがって、この治療は無意味である。
このように私は考えますが、いかがでしょうか。

Matthew J. Parkes, et. al.
Lateral Wedge Insoles as a Conservative Treatment for Pain in Patients With Medial Knee Osteoarthritis A Meta-analysis
JAMA. 2013;310(7):722-730. doi:10.1001/jama.2013.243229.

 
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