藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

【仮説】中枢感作への筋別簡略的アプローチ方法

例えば、菱形筋が異常収縮、異常緊張していたと仮定する。
 
菱形筋が、異常収縮や緊張を伴う場合、他の後頚筋群や前胸筋群も多岐に渡りアプローチしなければならない事、他、心理的な面等々の部分は全て除外し、あくまで菱形筋という筋肉に焦点を絞り一つの提案を行いたいと思う。
 
当院に於いては、TPや硬結を一つの指標として刺鍼のポイントを絞る事になるのだが、
基本的にはどの筋群に関しても、軽く伸ばした筋肉の状態を作り刺鍼を行っている。
 
            ①強短縮⇒②軽短縮⇒③通常⇒④軽伸張⇒⑤強伸張
 
上記の5つの状態の内、④の状態を作りつつ治療を行うのが、
TPや硬結の確保、患者の安定感を得られ易い為採用している。
 
ここでご覧になられている方に間違えてもらいたくない事は、患者にとっての軽伸張というのは、
術者にとっての解剖学的軽度伸張位では無い事である。
 
その為、菱形筋を軽伸張にしたいからと云い、ベッドの端から腕をダランと伸ばして行う事は、解剖学的には
軽伸張となるかもしれないが、患者にとっては軽伸張とならない事も多々あるということである。
 
あくまで、患者にとっての軽伸張とは何かを念頭に於いて治療を進行していかねばならない。
 
では、今回の仮説に入りたいと思うのだが、来院時に患者が菱形筋の異常収縮、仮に①の状態としよう。
この場合、治療終了時に③にしなければならないのだが、
 
症状にもよるが、前述した通り、
患者が①の場合、腕をベッドから下ろしても②になる。
患者が②の場合、腕をベッドから下ろしたら③になる。
患者が③の場合、腕をベッドから下ろしたら④になる。
患者が④の場合、腕をベッドから下ろしたら⑤になる。
 
このように、患者の症状や状態により、我々の解剖学的な軽度伸張位を狂わせてくる場合が多くみられる。
一度、この考えを基に治療を行ったと仮定しよう。
 
その際に、今度は表層と深層の筋のバランスの崩れが出てくる。
要は、表層筋となる僧帽筋や菱形筋が軽度伸張位になったとしても深層筋との兼ね合いがずれてくる事になる。
 
表層の筋を僧帽筋や菱形筋とし、その奥にある筋群を深層筋と仮定した場合、
臨床の場面では僧帽筋や菱形筋は持続的に短縮傾向である場合が多々としてある。
 
しかし、深層筋群は更に短縮である場合がある。
 
このような場合、①~⑤の図式を菱形筋という部分のみにスポットを当てた場合、
表層筋群に対しては、過剰な刺激、無用な刺激となってしまう可能性も十二分に考えられてしまう。
 
菱形筋に対してのアプローチに関しては、菱形筋の更に深層には起立筋群の他に肺がある為、
リスク面を考慮すると、脊柱の突起の外方1~2cmからの刺鍼しか出来ず、
且つ、より安全面を高めた場合、椎体まで鍼尖を届かせ固定する場合となると、
必ず深層筋群も併せて貫いてしまう事になってしまう。
 
この場合、肩甲骨の内縁辺りから菱形筋群へのアプローチを私は行うのだが
術者にとってはリスクが高い為、相応にして避けたいケースである。
 
この表層と深層の筋群の兼ね合いに関しては別途論述していこうと思う。
 
基本的に治療時の姿勢というのは仰向けやうつ伏せ、横向きというのが多いと思う。
 
その際、一つ認識して頂きたい事は、
仰向け、うつ伏せ、横向きという姿勢は、患者にとっては夜に家に帰って眠る時位、
もしくは仕事の休憩時にしか取らない姿勢であるという事だと思う。
 
現実的に考えると、患者は多くの時間を日常の生活や仕事等で立位や座位等で背筋を伸ばし、
重力に抗している時間が大半を占める。
 
その中で、症状を発症していくのが大半であろう。
 
と言う事は、この抗重力時にも耐えうる筋肉にまで我々は戻していかなければならない事になる。
治療時の仰向けやうつ伏せ等に於ける重力に抗しない、抗重力筋群が働かない状況で治療をし
改善が見られても、治療効果の持続性は乏しいのではないかと一つ仮説を唱えてみたいと思う。
 
このように考えると、治療時の患者側の姿勢というのも回数を重ねる毎に、
より抗重力筋が働いている状態で刺鍼を行っていく必要性があると考えられる。
 
菱形筋に対しての拮抗筋群、肩甲骨に付着している他の筋群、そして、問題となる菱形筋に対しての
アプローチ。患者の状態に応じて治療時の姿勢は変えていかねばならない事は明らかであろう。
 
常に患者の生活に応じた姿勢で、術者が治療を練っていかなければ、
症状の改善は見られないのかもしれない。
 
※ふと思い出したのだが、ヴァーティカルリフレクソロジー(VRT)の概念も上記の考えから派生したものであろう  か。参考までに、詳しいバックボーンをご存知の方がいらしたらお教え頂きたく存じます。
 
※今回の内容は、あくまで仮説として捉えた場合の内容です。
  有識者の方、鍼灸師や医師以外の徒手療法家の方々含め、ご意見や反論があったらご連絡下さい。
  内容の摺りあわせと共に昇華していきたい内容かと思っています。
 
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