藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

「がん」と「健康」と「ストレス」と「ベンゾジアゼピン」


向精神薬の長期服薬に伴う有害作用については各々述べていれば膨大な量になる為にキリがありませんが、たまたま「がん 健康 ストレス」をキーワードに患者と会話していた事でフト気がついた事があったので推論の上ですが少しだけ書こうと思います。
会話内容に関しては『健康に気を遣う人間ほど「がん」になっているよね』程度のものでしたが、健康に気を遣うと言う心理状態すらもストレスと言えばストレスです。「健康の為なら死んでも良い」を地で行くようなストイックに健康を求める人間から死んで行くのは、やはり健康の為には凡ゆる事象を我慢した結果、ストレスから由来するものもゼロではないかもしれません。
睡眠時間をキッチリと守り、適度な運動や体操を心がけ、肉や魚は食べない。玄米菜食に徹底的に拘る。少しでも焦げた食材があれば選択的に弾く。序でに家族や会社でも自己の健康学を説くetc…。さて、そんな気を付けに気を付けた、傍から見たら小うるさい生活も実際はストレスなのかもしれません。そこで更に突っ込んで調査すれば、世間一般で言うところの「健康に気を遣っている人」ほど、ベンゾ系の服薬率が高率なような気がしませんでしょうか。
健康に気を遣い過ぎた(過ぎる)あまり、不安や不眠を引き起こされたエピソードを持つ患者群は私が知る限り以外でも多くいるかもしれません。但し、多くの方はタバコや酒やカフェインや焦げ、糖分や塩分の過剰摂取、長期摂取は有害である事を知っているかもしれませんが、お医者さんから処方されたベンゾ系の長期服薬に伴う有害性というのは何処まで浸透しているのかと言う側面もあり、尚の事、ベンゾ系に対しての情報収集量は少ないかもしれません。
以前、ウチの患者(パキシル サインバルタ リーゼ ドラール メイラックス ドグマチール 他)が、とある部位が「がん」となり摘出手術をする事になったと話しましたが、さて、向精神薬が直接的な「がん」の発症を引き起こすかという論文も事実存在するものの、これも何処まで直接的な因果関係はあるか分かりませんが、巷で言われている「ストレス」と言う因子を強く抱えている方々が「がん」になるのは多くの方もご存知の事かもしれません。
チラと以前も触れましたが、ベンゾ系を長期服薬している群と言うのは、「不安」「極度な不安」「焦燥感」「極度な焦燥感」を抱えている方々が多数を占めています。これらも素因による問題かもしれませんが、非服薬患者群とも多く接している為に、何となく感じる部分はあるのです。
服薬に至ったエピソードは何かしかの患者及び患者周囲に関わる内外的な因子により「不眠」や「不安」、「自律神経失調症」と言われ、処方されたケースが圧倒的に多い為に、基礎的な部分で「不安」と言うのはあっての事なのかもしれませんが、過剰とも言える…極端に誇張されているような「不安」を抱えている方々も散見されるものです。
現にベンゾ系の長期服薬による常用量離脱※1として反跳性作用※2が生じますので、急激に不安感や焦燥感と言うのは薬物由来で生じるものではありますが、その急激な不安感や焦燥感という薬物由来による「ストレス」と言うのは、極めて深刻な状態に陥るものと思われます。
それが服薬~減薬~断薬後と、離脱症状から脱出するまで、それらの反跳性不安が惹起され続けていた場合、やはり同様に深刻なストレスに暴露され続けるものと思われます。勿論、周囲の人間は「気を紛らわして」と言うフォローもしてはいるかもしれませんが、薬物由来の反跳性作用は、そのような「気を紛らわす」と言う行為自体が不可能な状態になる人も多数を占め、只ひたすら四六時中、耐え続けている場合も多くあります。
こういう人が腰を痛めてMRIに入り僅かでもヘルニアが見つかろうもんならエラい事が始まりそう。100人の医者に手術は要らないと言われても、手術をしてくれるゴッドハンドな名医者を探す旅に出るのでしょう。大学病院か、東京と愛知に系列を持つ某病院にでも行けば喜んで切ってくれると思います。

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         これらのワードが出てくると決まって安保徹教授の顔も出てきます

※1 不安、恐怖、パニック発作、興奮と不安、心気症、拡張型心筋症、集中力障害、悪夢、不眠、筋肉の痙攣、電気ショック感覚、目のかすみ、めまい、ドライマウス、刺す痛み、聴覚障害、味覚・嗅覚障害、胸の痛み、インフルエンザ様症状、記憶と思考の障害、触覚過敏、聴覚過敏、頻尿増加、熱感覚・冷感、頭痛、リバウンドレム睡眠、筋肉の緊張、疲労と脱力、嗅覚過敏、むずむず脚症候群、金属の味、羞明パラノイア、幻覚、吐き気や嘔吐、血圧上昇、頻脈、高血圧、姿勢低血圧、うつ 、振戦、発汗、食欲不振、体重低下、不快、離人強迫性障害、耳鳴り、知覚異常、視覚異常、優柔不断、過敏性腸症候群、痙攣、緊張病、昏睡、自殺、自殺未遂、自殺念慮自傷行為熱中症、妄想、殺人願望、叫ぶ、投げる、壊す、暴力、PTSD、器質性脳症候群、精神病、混乱、躁病、悪性症候群様症状、振動せん妄 等など

※2 反跳作用(はんちょうさよう、rebound effect)とは、同じ薬の服薬を中止するか、服用量が低下した時に一過的に出現する、症状の発症や再発である。再発の場合、その重症度はしばしば治療前より悪化している。また、反跳現象(はんちょうげんしょう、rebound phenomenon)とか、リバウンド現象ともいう。睡眠薬抗不安薬を中止したことによる不安や不眠の亢進、点鼻薬をやめたことによる鼻づまりなど。  

ペンシルバニア州在住で睡眠薬を服用する健康な人1万500人と、睡眠薬を服用しない2万3600人を対象に、平均2年半にわたって観察研究を行っった結果、睡眠薬を服用する人は、死亡リスクが3.6倍から5.3倍高く、発がんリスクが3.5倍高いと報告。1年18回量未満を処方された群では非処方群に比べて死亡リスクが3.6倍。18~132回量処方群では4倍以上。132回量超処方群の死亡リスクは非処方群の5倍。最も高用量の群では、食道癌やリンパ腫、肺癌、大腸癌、前立腺癌などの発症リスクも高かった。白血病、乳癌、子宮癌、膀胱癌、白血病、メラノーマのリスク増大はみられなかった。
BMJ Open 2012;2:e000850 doi:10.1136/bmjopen-2012-000850
Pharmacology and therapeuticsHypnotics' association with mortality or cancer: a matched cohort study

アメリカ食品医薬品局FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータから殺人や暴力など他害行為の報告を調査し、睡眠薬では、短時間作用型のものに他害行為の傾向が強く、トリアゾラム8.7倍(ハルシオンベンゾジアゼピン系)、ゾルピデム6.7倍(マイスリー、非ベンゾジアゼピン系)、エスゾピクロン4.9倍(ルネスタ、非ベンゾジアゼピン系)であった。
Ross, Joseph S.; Moore, Thomas J.; Glenmullen, Joseph; Furberg, Curt D. (2010). “Prescription Drugs Associated with Reports of Violence Towards Others”. PLoS ONE 5 (12): e15337. doi:10.1371/journal.pone.0015337. PMC 3002271. PMID 21179515.

不眠症うつ病をもたらすと主張されてきており、不眠症のための医薬品がうつ病を治療するのに寄与するかもしれないという仮説がある。 しかしながら、ゾルピデム、ザレプロンとエスゾピクロンに関する、アメリカ食品医薬品局FDA)に提出された臨床試験のデータの解析は、これらの鎮静催眠剤は、偽薬を服用した場合に比べて、うつ病を発症するリスクを2倍にすることを明らかにした。従って、鎮静催眠剤は、うつ病の恐れがあるか、苦しんでいる患者において禁忌である可能性がある。研究は、鎮静催眠剤の長期間の使用者には著しく高い自殺の危険性があり、同様に、全体的な死亡率の増加を見出した。
Kripke, Daniel F (2007). “Greater incidence of depression with hypnotic use than with placebo”. BMC Psychiatry 7 (1): 42. doi:10.1186/1471-244X-7-42. PMC 1994947. PMID 17711589.

睡眠薬又は抗不安薬と死亡率の系統的総説とメタ解析。睡眠薬又は抗不安薬と死亡率の関連に関するエビデンスを統合する。主要なデータベースが2014年4月までの睡眠薬抗不安薬の使用と死亡率との関連を報告した。random-effectsモデルを用いて、統合したハザード比と95%信頼区間を推定。結果:2188の論文をスクリーニング後, 25 の研究(24のコホート研究, 1つの症例対照研究)、2,350,093人の患者、 59%が女性 (年齢18-102?歳)をメタ解析。
睡眠薬または抗不安薬使用者は非使用者に比べて、死亡率の危険性が43%高くなる(hazard ratio, 1.43; 95% confidence interval, [1.12, 1.84]). 8つの研究は各性別の危険性を報告し、これらの研究の統合した結果によると男性(hazard ratio?=?1.60, 95% confidence interval?=?[1.29,1.99])および女性(hazard ratio?=?1.68, 95% confidence interval?=?[1.38, 2.04]) で死亡の危険性が増加した. 
10の研究を統合した結果によると、BZD使用者は非使用者よりも死亡率が高かった (hazard ratio?=?1.60, 95% confidence interval?=?[1.03, 2.49]), 一方5つの研究の統合された結果によるとZ-drugsの使用により死亡率が増加するが、その影響は統計的に有意には至らなかった(hazard ratio?=?1.73, 95% confidence interval?=?[0.95, 3.16]). 解析では有意な異質性が観察され、含まれた研究の質は良好。

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