藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

ビオチン欠乏症を知る事が離脱症状緩和のヒントとなるか

-ビオチン欠乏症-

肥満や摂食障害の副作用は、ヒスタミンや一部のセロトニンが絡んでいることが知られていますが、
それだけではありません。分子生理学でいうところのビタミンB、ビオチン欠乏の問題があります。
ビタミン・ビオチンは、インスリン分泌、ホルモン分泌に関わっています。
さらにはGABAの生成にも関わっています。

GABAは、グルタミン酸から脱炭酸化されて生成されますが、
その脱炭酸化には膵臓や胆嚢などの内分泌系ホルモンが必要なのです。
その内分泌系のホルモンをつくるのにビタミンBやビオチンが必要です。

先日、スティーブン・ジョンソン症候群が話題になりましたが。
その被偽薬の多くがビタミン・ビオチン欠乏を起こします。
ベンゾ系の抗てんかん作用のある薬が該当します。

向精神薬の服用者に、肥満や膵炎や婦人病が多い事、
歯や爪が薄くなったり髪の毛が傷んだり皮膚系の異常が多い事、
長期間の服用者が老けて見えることはこれで説明できます。
また自律神経からうつを治そうとする医師が居ますが、自律神経のスイッチは、
GABAドーパミンですから、自律神経がやられるのは自明の理なのです。

つまり、GABAを増やそうと投与した薬によって
却ってビタミンB・ビオチンを欠乏させる作用があるという事です。
大量に飲まなければそんなことにならないと医師は言いますが、
半減期の長い薬を何年も飲んでいれば、常に血中にこれらの薬が大量にあるのですから、確実になります。

さらに都合の悪いことは、このビタミン・ビオチン欠乏は非可逆性が強いのです。
そのためこうした副作用がでているひとは、
膵臓のケアと同時にビタミンB・ビオチンの補充を考えるべきだと思います。
皮膚異常が出ていたら、皮膚科でビオチンなどを処方してもらえるのでお奨めです。

〇脱炭酸化反応

脱炭酸(だつたんさん、Decarboxylation)は有機反応の形式のひとつで、
カルボキシル基 (-COOH) を持つ化合物から二酸化炭素 (CO2) が抜け落ちる反応を指す。

〇脱炭酸化の例

クロラゼブ酸(メンドン)の化学式C16H11ClN2O3
CO2(炭酸)を除去すると ノルジアゼパムの化学式C15H11ClN2O となる。

〇カルボキシラーゼ

生体内での脱炭酸化とは、カルボキシラーゼという酵素によって行われる。
基質(有機化合物(糖、アミノ酸)にCO2を付与したり除去したりする酵素

カルボキシラーゼを働かせるには、ビオチンが必要である。ビオチンが欠乏する症状をビオチン欠乏症という。

〇ビチオン

ビオチンはもともとビオチンは皮膚に生じる炎症を防止する因子として発見されたもので、
細胞の成長を助け、皮膚や爪、毛髪を健康に保ち、筋肉痛を和らげる効果があり、
アトピー性皮膚炎・花粉症にも効果がると期待される、皮膚との関係が非常に深いビタミンです。
ビオチンはタンパク質と結合している状態で含まれているため、そのままでは吸収されませんが、
酵素ビオチニダーゼによってタンパク質から分離され(遊離型ビオチン)吸収されます。
つまり、ビオチンは腸内細菌によってつくられるビタミンです。
このため、便秘などで腸内環境に問題があると不足・欠乏を招くこともあります。

食物中のビオチンは、組織内では大部分がタンパク質と共有結合しています。
膵臓から分泌されるビオチニダーゼによって食物中のタンパク質からビオチンが遊離し、
能動輸送によって主に空腸から吸収される。血液中に移行したビオチンは、
肝臓で合成された輸送タンパク質であるビオチニダーゼと結合し、細胞内に取り込まれる。

〇ビオチン欠乏症(wikipediaより)

抗生物質の服用により腸内細菌叢に変調をきたすと欠乏症を示すことがある。
また、ビオチンは卵白中に含まれるアビジンと非常に強く結合し、その吸収が阻害されるため、
生卵白の大量摂取によっても欠乏症を生じることがある。
この場合のビオチン欠乏症を特に卵白障害と呼ぶ。
1日あたり10個以上の生卵を食用し続けると卵白障害に陥る可能性があるとされる。
欠乏症状は以下のとおり。

 
白髪、脱毛、湿疹あるいは炎症など皮膚症状
皮膚や粘膜の灰色退色や落屑
結膜炎
筋肉痛
疲労
食欲不振
味覚異常
血糖値上昇
不眠
神経障害

〇ビオチン欠乏症の原因(wikipedia

乳幼児のビオチン欠乏は出産時に、ビオチン欠乏の母親から悪玉菌優勢の腸内細菌叢を引き継ぐことや、
母乳中にビオチンが少ないことで発症するといわれている。生活環境では、喫煙、アルコール、乳製品、
生卵白などの取りすぎはもとより、頻回の下痢、抗生物質やストレスなどで
腸内細菌叢の構成に異状をきたしたとき、その他にも、完全静脈栄養施行時、腎臓透析施行時、
または、長期にわたり、ペプチドミルク(乳幼児)、一部の抗てんかん薬、鎮痛薬などを服用したときに欠乏する。
 
食物中のビオチンは卵黄中にも存在しているが、アビジンやリジンなどタンパク質と結合した結合型であり、
穀物中のビオチンは吸収できないなど、生体内での利用がしにくい。これに対し、
腸内バクテリアが産生しているビオチンは活性型といわれている遊離型である。

〇ビオチン欠乏症の原因となる薬

・一部の精神安定剤睡眠薬、抗てんかん
・鎮痛剤とともに服用する胃の薬の一部
・一部の総合ビタミン剤

薬の中に「カルパミド基(-NH-CO-)」や「ウレイド基(-NH-CO-NH-)」という
構造を持っているとビオチンの吸収を妨げる。

ご自分の飲んでる薬の各薬剤の化学式をチェックしてみて下さい。
また半減期の長い薬は特に疑わしい。

〇カルパミド基のある薬剤(一部抜粋)

フェノバルビタールベゲタミン)C12H12N2O3
ペントバルビタールラボナ)C11H18N2O3
リボトリールランドセン)C15H10ClN3O3
ジアゼパムセルシンホリゾン)C16H13ClN2O

〇結論

離脱症状や副作用の軽減において、腸内環境を整えるのは重要です。
便秘などの副作用が出ている方は、まず腸を回復させてあげることが重要です。
婦人系の問題が出ている方、皮膚、髪、歯、口内炎などの問題のある方、
摂食障害や肥満の症状が出ている方には、特に重要です。
ビオチン欠乏は一度起こすと、なかなか回復しませんので、ビオチンを外部から提供するのは有効です。
日本では、ビオチンの高用量のサプリは無いので、皮膚科で処方してもらうか、
海外から取り寄せることになります。

*ちなみにGABAグルタミン酸も脳関門を通過しないので、それらをサプリでとっても意味がありません。
結局腸内環境を良くすることが大切という事です。腸を整えたら良くなったという体験談も幾つかありますが、
猛烈に同意します。

このあたりに離脱症状を緩和するヒントがあります。
西洋医学だけ勉強しても絶対たどり着かない。
生化学や分子生理学の方向から離脱症状や副作用症状をみれば違った解決策があります。
漢方の考え方を加え、内臓を整えてやることにより、様々な諸症状が改善されるはずです。

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