藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

積極的治療の功罪


                        
☆勉強会します⇒【都内】整形外科領域に於ける腰下肢痛【勉強会】

何かしかの症状が生じた場合、症状の内容や状態よりも発症原因の探求が一般的であると思う。突然、上肢や下肢に激痛が生じたら、身体内部の異常を探求したいという欲は、願望を満たす1つの行為でもあり、原因さえ分かれば、その原因に対して処置を施す事で何とかなるだろうと思案するのも、また一般的な思考であると思う。それを咎める理由や権利は誰にもないし、且つ、事前検査が済んでいれば患者から得られる情報の価値は高くなる為、「~だろう」的な不安感も術者側には生じにくい。しかしながら、それで全ての不安が拭えたとは言い切れないのが人間の難しいところでもある。もしかしたら私達は一般の人に比べれば、各種疾患に対してのデータや症例を多く保有しているかもしれない。それは、現代医療が施す治療内容や治療成績、中長期に渡る症状の経過、再発率、そして調べようと思えば、これらのデータの嘘まで追う事は出来る。しかし私達は、そのデータがあるからと患者が直接的に納得する材料には結びつかないという事も認識しなければならず、仮に針治療なり何なりで効果が生じたとしても、不安の払拭に繋がるかと言えば、全てがそうでもないかもしれない。簡単な例を挙げると、針治療で中長期的に腰下肢痛が皆無になったからと言って、椎間板ヘルニアという器質的異常の事実を抱えている以上、常に私達の言葉を信じていない場合もあるという事である。
 
それはもしかしたら、他の保存的治療で改善した患者群であったとしても、同様な不安を抱えているかもしれない。器質的異常を抱えている以上、またいつか爆発するかもしれないという恐怖に怯えているかもしれない。強烈な痛みはトラウマとなる。不安は不安を助長し、周囲を巻き込んでいるかもしれない。乳がんを発症する前に乳房を切り落とす女性のように、無症候にも関わらず、脊椎変性疾患に対して、患者意思で手術をするかもしれない。多くの疾患に関しては、「良くなればそれでOK」という思考ではない人も沢山いるのではないかと言うのを感じる。考え過ぎと言われればそれまでかもしれないが、針治療というのは仮に症状が消滅したとしても疑心暗鬼に思われる世界がある事を知った。では、何故症状が消滅したとしても不安に思い続ける患者が存在するのかを考え、これらの思考を持つ患者に対しての対策を練らなければならない。ここを突破しなければ、治したという実績は積み上げても信頼は積み上がらないと思う。
 
1)疾病利得やそれに類似する背景を抱えている患者、2)治る症状にも関わらず患者意思(もしくは身近な人間の伝達により)で治る事を諦めている患者、3)治るという意味を履き違えている患者の3群は、そもそも針治療をチョイスする確率は低いと思われるが、知っていても損はない事がある。何故ならば、受療確率は低くとも仮に受療した場合、積極的治療が施される事で場を乱される可能性があるからだ。場を乱されるというよりも、自ら治そうという気持ちが伴わなければ治らないのが現代医学が真の力を発揮する領域外の疾患であり、且つ領域外疾患は多方の患者に発生する事象であり、事前に既知してもらう事で治癒速度に直結する事を知ってもらわなければならない。その為の予防線を【針治療を受けられる方々へ】 【適応症・諸注意】で張っている。
 
似た話しを某人としていたら同じだと笑っていたが、現実は何処もそんなものであり、積極的治療を施す側は常に深みを追いかけ続ける為、患者が保持する治癒意識や疾患概念との温度差が掛け離れてくる。仮に症状の消滅が生じたとしても患者は逆に不思議がり不安がる。こちら側にとっては当たり前の治効理論も、人は未知の時間が生じた場合、不安になる。それが既成概念を打ち破り続ける積極的治療の功罪である。そして脊椎外科医は、脊椎変性疾患という所見が保存的治療で症状が消滅すると立場的にマズイようだ。一体何の話しかと言えば、患者依存の医療以前に、名誉欲や権威欲が渦巻き、患者の治癒を邪魔しているのである。私はどんな診断名が付いていたとしても、どんな薬を飲んでいたとしても、その事自体を問題とは思っていない。診断名が付くのは、何かしかの症状を抱えて病院にでも行けば得るものであるし、処方される。問題なのは、事実から生じる事実は幾ら目を背けても事実として生じる事実がある事を知ってもらわなければステップが踏めないのも又事実なのである。これらの事情を患者が既知しての事なら話しは早い。
 
では、既知していない場合はどうするか。ここが問題なのだが、各種領域によっては同一疾患に対しても、病態の概念が全く異なるのが障壁となる。只、恐らく病態の概念は統一される事はないと思うし、ここまで医療が発達したのは統一されなかった(できなかった)からこそなのかもしれない。そのように考えると、患者が仮に何かしかの症状を呈した場合、患者自身の疾患に対しての分析や認識と、術者(もしくは教科書)が提示している分析や認識がリンクして、症状が改善するか否かは別として、初めて治療というステージに上がる。
 
さて、前置きが長くなったが、現代医学は救急救命感染症と産科で力を発揮する分野であり、異論はないと思う。ではそれ以外の分野は如何だろうか。元も子もない話しをすれば、全ては患者依存で生じる疾患になる。患者依存で生じる疾患という事は予防が可能である。予防が可能であるという事は自己の生活態度で如何様にも制御出来る事を意味し、自己の生活態度で如何様にも悪くする事も出来れば良くする事も出来る。
 
では、その諸症状の発生源となる根が何かを知れば良いだけの話しであり、一生治らないような悍ましい病名が付いていたとしても、発症時期や発症状況、発症患部、発症部位に偶然居合わせた神経や血管走行によって各々異なる症状を呈しているだけなのではないかと言うのを、針治療という手段「しか」していなければよく分かる(勿論、壊滅的に不可逆化変性した細胞等は難しいが)。ここを一歩一歩各論的に論じていけば、今後の積極的保存治療にカテゴリを置く針治療の価値や意義は一気に伸びていくはずである。そこでブチ当たったのが向精神薬の反応により(敢えて作用や副作用とは書かない)中枢神経系の諸症状を呈し続ける患者群との対峙であり、様々な既成概念により招かれる治癒遅延の問題なのではないかと言うのがデータを取り続けていれば見えてくる。前も書いたかもしれないが、針治療で早期回復、早期社会復帰が得られる患者群というのは、切った張ったを繰り返され、後が無い患者である。少しでも手術や薬で何とかなるという余地思考が在る場合、自助努力が伴わない。医療という壁が余りにも巨大で美しく寄り掛かりたくなる存在に見えるのかもしれない。どうしたもんだか、医療というのは改めて恐ろしい世界である。
 
そう言えば日本は大きく揺れているようで、同じ道を歩まない事を切に願うばかりである。

 
2013年の初め、合衆国国防総省の公式ウェブサイトで、2012年の軍内部で発生した自殺件数が戦死者の総数を遥かに超え、1日の平均自殺者が約1名に上るという驚くべき統計値が発表されました。 1ヵ月後、合衆国退役軍人局からさらに驚愕すべき統計が発表されました。退役軍人の自殺者数は1日平均22人、年間約8000人に達しているのです。この悲惨な局面に際し、合衆国国防総省は軍隊での自殺を「伝染病」と呼びました。このように多発する自傷行為は戦争によるストレスのためだと主張する人もいますが、 軍隊での自殺者の85%は戦闘を見たことがなく、52%は戦地に派遣されたことすらなかったということが明らかにされています。
 
では、軍内部での自殺率を急増させている思いがけない要素とは何なのでしょう?新発表のドキュメンタリー「隠れた敵:軍事に介入する精神医学」によると、すべての証拠はある事実に集約されます。それは、2003年から始まった向精神薬の処方率の急激な増加です。 増加する攻撃性と自殺願望などで知られる、この種の薬物の処方による副作用は、軍内部の家庭内暴力児童虐待、性犯罪だけでなく、自傷行為の増加傾向に反映されます。さらに調査を進めていくと、精神科医が特に兵士と退役軍人の心的外傷後ストレス障害PTSD)に関して、「精神障害」が意味する定義の枠を広げ続けていることが分かるでしょう。 精神医学においては、PTSD人格障害社会不安障害などの診断が行われると、必然的に少なくとも一種類の向精神薬が処方されます。
 
精神科医は、処方薬が実際には何も治癒することなく、単に症状を覆い隠しているだけであることを理解しています。 また、依存の可能性を含む、多くの危険な副作用にも十分に気付いています。 それにもかかわらず、精神科医はその効能は副作用を上回ると主張します。 そして、兵士の抱える本当の問題は放置され、その健康状態は悪化します。この痛ましい軍人による自殺の統計にもかかわらず、さらに多くの資金が精神医学によって浪費されています。合衆国国防総省は今やメンタルヘルスだけで年間20億ドルを費やしています。 退役軍人管理局におけるメンタルヘルスに関する予算が急上昇しています。2007年に30億ドル以下だった予算が、2014年には約70億ドルに達する見込みです。その一方、状況は悪化の一途をたどっています。
 
「隠れた敵」では、ありのままの事実が浮き彫りにされるとともに、兵士と退役軍人が精神医学と向精神薬の本当の危険性について啓発されるよう訴えられています。 十分かつ誠実なインフォームド・コンセントの権利と、治療を拒絶する権利の行使が解決策となります。 ここで重要なことは、戦闘の恐怖というストレスへの安全で効果的な精神医学以外の解決策が存在することであり、その解決策は人々の健康を悪化させ続けるだけの危険で有害な治療を用いるものではないということが広く知らされることです。
 
「我々は兵士たちにこれほど広範囲に薬を投与したことはありません。そして今日起こっている自殺率の増加は、それに関係していないとは言えません。 軍において精神科医は、なぜ精神保健サービスの指揮下から外されていないのでしょう? これは、軍の指揮系統におけるその他の地位では、指導権を変えられてしまうような状況です。」- バート・ビリングス博士、臨床心理士、 元アメリカ陸軍予備役中佐
 
軍隊生活は厳しいものです。常に警戒し、決断力を持ち、集中するよう訓練されます。 身体的にも精神的にも最高の状態にです。 これは不可欠です。しかし、兵士たちが向精神薬を服用して行動することは逆効果になるだけです。それにも関わらず、軍の電子記録によると、少なくとも兵士の6人に1人は向精神薬を服用していることが示されています。 この数字はおそらくかなり控えめなものでしょう。なぜなら最前線では処方記録が取られておらず、薬物が衛生兵と兵士の間で何の処方箋もなく頻繁にやり取りされているからです。
 
向精神薬の危険性は長い間知られています。 抗うつ剤に関して言えば、今では処方者や患者に対して副作用の注意を喚起するため、欧州連合やその他10ヵ国の薬物規制当局によって100件近くの警告が発せられています。その警告には敵意、暴力行為、自殺が含まれています。
 
兵士や退役軍人にこのような薬物を処方しても効果が得られないにも関わらず、合衆国国防総省と退役軍人局は精神障害を治療するために2001年から20億ドルを費やしています。 この驚くべき金額は合衆国だけの問題ではありません。オーストラリア退役軍人局は退役軍人のメンタルヘルスに関して、毎年1億6000万ドルを費やしています。世界中の軍隊において、精神医学に対して巨額の費用が支出されています。しかしながら、この費用によって現役軍人の心の問題を解決し、その入院率を減少させるような成果は上がっていません。 その上、自殺率も上昇し続けています。
 
2012年に自殺した英国の兵士と退役軍人の数は、戦死者数を上回っています。 過去10年間におけるオーストラリア国防軍の自殺者数は前線での戦死者数を上回ります。2001年から2009年の間、アメリカ軍では2,100人が自殺しています。この数字はアフガニスタンでの戦死者数の3倍、イラクで死亡したアメリカ人の半数に相当します。 同じ期間、自殺念慮や行動を引き起こすことで知られている向精神薬に対する軍の発注は76%上昇しています。アメリカの退役軍人の問題はさらに深刻です。 アメリカの退役軍人は65分に一人の割合で自殺します。何と一日に22人です。

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  ~針治療から病態定義の見直しを~