藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

コーヒーブレイク3



精神医療の早期介入を初めとした
医療化に嫌疑的な視点での波紋が広がりつつあります。
 
全ての事象に対して医療が入り込む事の
是非は当ブログをご覧になられている方々でも見識は異なるでしょう。
異なっても全く構いません。考え方は人それぞれである以上、
意見を頂いても賛成も否定もするような回答を差し上げる事はありません。
 
そして、我々の治療現場は既に医療化及び医療過誤により
ある意味「医原病」、言い換えれば「誤治療」
もう少しソフトな言い方をすれば「誤った見識による誤った処置」の蓄積により
症状を発症している方々を多く診る機会があります。
 
但し、実は「誤った見識による誤った処置」に関しては、
治療サイドにとっては「正しい」と思われ行われているのです。
これが一番危険なのです。
 
過去に取り上げてきた整形外科領域及び精神科領域の疾患、症状、発痛原因に関しても、
「何もしなければ」何事も無く早期に社会復帰出来るものばかりだったかもしれません。
 
画像診断の高度化、検査技術の精密化や処理速度等の進歩は素晴らしく、
不安を抱える患者群に対して、一つの安心材料になる事でしょう。
 
社会環境の変革や検査技術の高度化により、
様々な発見、研究、治療へと繋がり、命を救われた患者も多くいると思います。
それと共に、QOLを高めている患者群もいれば、
もしかしたら延命的治療の弊害により、QOLを低下させた患者もいる事でしょう。
 
過去から取り上げている様々な問題は、
医療の高度化、及び医療化によりベネフィットとリスクを天秤に掛けるラインが、
悪い意味で低くなり過ぎた結果とも捉えられます。
 
物が溢れた時代です。それは医療であっても同様な事が言えると思います。
 
様々な健康食品、健康法、治療法、治療手段が紹介されています。
医療の敷居を下げるキッカケになると同時に、選択肢は驚異的に拡がり、
自身の症状に悩む患者群にとっては、良くも悪くも医療機関の選択に悩む事でしょう。
 
何度も言いますが、
医療は足し算で行われますが、
健康は引き算にて開拓されていくものだと思います。
 
情報を仕入れる、情報に沿った治療機関に出向く、治療を受ける、悪化した。
このような事象が後を絶たないのは、私以上に患者が自覚されている事かと思います。
 
ここ最近のブログは各論的な話が無く、
疾患別に椎間板ヘルニアに対しては、狭窄症に対しては、というような話が無く、
興味のある方々にとっては詰まらない内容が続いていると思います。
 
但し、一つの考え方を得る事が、自身の健康を保持する為には先決かと思い、
あくまで健康を会得する為の思考的な内容に重きを置いている事を理解頂きたく思います。
 
人間は生きていれば風邪を引く時もあるでしょう。
転んで挫いて膝を擦り剥く事もあるでしょう。
仕事で腰を使えば腰も痛めるし、肩を使えば肩も痛めます。
 
その時、アナタはどのような手段を取りますか?
ここの段階で、今後の人生を大きく変える事になるでしょう。
 
現代医療の8~9割は必要のないものばかりです。
もしかしたら、患者全員が気付いたら医療機関の8~9割は消滅し、
救急医療が大きく躍進していく事でしょう。
 
医療とは患者が予防知識を持っていれば必要のないものかもしれません。
 
一時の悲しみで手を出した薬が原因で、薬が一生手放せなくなり、
副作用に苦しめられ、医療機関に足を運ぶと副作用とは認められず、
副作用に対しての薬を処方される。専門機関を紹介される。
 
薬の副作用を回避する為には薬を抜かなければならないのです。
但し、薬を抜けば激しい離脱症状に苛まれ、薬を飲み続ける事となる。
 
悔しくないですか?
 
自分が薬物でコントロールされている現状に悔しくなりませんか?
 
自分の意識が感情が生活が睡眠が
脳関門を通り抜ける薬物に支配されている現状に悲しくなりませんか?
 
もっと、自分で生きてみませんか?
私はとことん考えていきたいと思います。



医療化とは、従来別の社会領域、宗教・司法・家族・教育に属していた事柄が、
医療の対象として再定義されることである。今まで医療化されてきたものとして、
妊娠・出産・死などが挙げられ、
 
一旦医療化されたものが医療の領域から抜け出ようとする
動きを脱医療化といい、医療化と繰り返しておこる現象であるとされる。
社会から逸脱した状態が医療化されるステップとして、
次の五段階がある。
 
一に逸脱定義の先行。ある行動を逸脱とする定義が、
  医学的な規定より先に存在すること。
 
二に試掘。ある行動についての診断・治療法が、
  新しい発見として医学雑誌などにおいて提唱されること。
 
三にクレイムメイキング。
  ある行動の医療化に関心を持つ医療内部の小集団の積極的活動や、
  多様な利害関心を持つ医療以外の集団による権利を要求する活動。
 
四に正当化。立法・司法機関を通じて、要求された権利が国家に認められること。
 
五に医療による逸脱規定の制度化。逸脱の医学的な定義が整備され、
  新たな疾患のために大規模な組織がつくられること。以上五点である。
 
また、医療化の特徴も五点ある。
 
一に、医療化と脱医療化が繰り返し起こること。
 
二に、逸脱の医療化は、犯罪に対して過酷な処罰に対抗するために
  進められる場合が多いこと。
 
三に、医療専門職のうち、医療化に関わるのはごく一部であること。
 
四に、逸脱を医学的に定義しなおす場合、自分ではある問題行動を制御できない、
      つまり強迫性を持っていることが根拠になる場合が多いこと。
 
五に、医療化と脱医療化は科学的な事よりも、政治的な事柄に左右されて起こること。
   以上が医療化のステップと特徴である。

医療化に則して見たうつ病の歴史
 
うつ病をめぐる動向を逸脱の医療化として捉えると、三~五の段階が観測される。
まず顕著に表れるのは第三段階のクレイムメイキングである。
これにはうつ病の啓発キャンペーンが当てはまる。
第四段階の正当化では、厚生労働白書にうつ病に関する記述が現れることが
観察できる。医療による逸脱行為の正当化も同様で、
第四段階と第五段階を明快に区別する結果にはならなかった。
 
第三段階のクレイムメイキングでは、うつ病の啓発キャンペーンが観察できる。
以下は、啓発活動の様子が端的に表れている新聞記事である。
この記事が掲載された2000年は、SSRIが初めて導入された年の翌年にあたる。


うつ病治療し自殺防ごう 宮田親平(年につける薬) 【大阪】
 
自殺者数が年間三万人を突破し、
ことに五十歳代、六十歳代の男性の自殺が大幅に増えて、ゆゆしい問題になっている。現象の背景には、人生のやりなおしがききにくい中年以上を襲っている企業のリストラや中小企業の不振が深く関係していることはいうまでもなく、横の移動がむずかしい労働市場などをそのままにして、バブルの後遺症を中高年にしわ寄せする、企業や行政の責任は大きい。
 
「自殺大国」と呼ばれるこの国で、悲劇を防ぐために、個人も防衛しなければならない。一つの目安として、自殺に結びつきやすい病気として、うつ病があること。この病気になると、七〇パーセントが死を考え、一〇パーセントが実際に実行に移すといわれる。その症状として、よくいわれるのが、ことに朝の憂鬱(ゆううつ)感が強いために、「朝刊シンドローム」といって新聞の朝刊を読まなくなる。また、女性では、化粧をしなくなるなどがサインといわれる。幸いうつ病には、最近SSRIというこれまでの薬より副作用の少ない薬が現れてきたので、できるだけ早く治療を受けたい。そしてこうした場合、受診を勧めることを含め、もっとも大切なのは家族や職場の人たちの支えである。(医療ジャーナリスト)
朝日新聞200027日夕刊)


この記事ではまず、自殺者の数が年間三万人を突破したことを上げ、
悲劇を防ぐために、個人も自殺からの防衛活動をしなければならないと
述べられている。そのために注目するべき点がうつ病であり、
うつ病のサインとして現れる症状を述べ、
早く薬による治療を受けるように促している様子がみられる。
つまり、うつ病は自殺に結びつく病気であること、
有効な薬があることを伝えている。
うつ病の今日にもつながるイメージが発信されている。
 
次に、第四段階の正当化である。これは厚生労働白書にも観察される。
1997年(平成9年)厚生白書の厚生労働白書の、第一編第一部第三章第一節は
「現代の「心の不健康」」と題され、燃え尽き症候群や空の巣症候群などが紹介されている。精神疾患に関する関心が高まった様子を見ることが出来るが、うつ病に焦点が置かれている様子は見られない。
 
しかし2001年(平成13年)の厚生労働白書においては、
はっきりとうつ病に注目が集まり、白書で多くのスペースを割かれている。
現代がいかにストレスの多い社会であるか、そのために自殺者がどれほど増えているかが述べられ、自殺を企図する者のうちうつ病の症状を持つ人が多かったという報告から、うつ病が注目されている。
うつ病は身近な病気」と明記され、詳しい解説が加えられている。
以下は平成13年厚生労働白書第1 1 1 2の一部である。


うつ病は身近な病気
 
うつ病は適切な治療を行えば大部分が改善するものであり、このためにはうつ病の症状や治療についての正しい知識を国民に普及し、早期に発見し、早期に治療に入れるよう環境を整備していくことが重要である。(中略)初期のうつ病はなかなか気づきにくいものであるが、寝付きが悪かったり、朝早く目が覚めたりといった睡眠障害やこれまで容易にできていたことがおっくうに感じられたり、わけもなく疲れたように感じられたりといった倦怠感が続くような場合などは要注意である。
 
うつ病抗うつ薬を中心とした薬物療法や精神療法などの適切な治療を行えば回復する病気であり、まずそのことを本人や家族が理解するとともに、早期に精神科や心療内科の医師などに相談することが重要である。また、うつ病患者にとっては、何よりも休息が必要であり、励ましたり叱ったりすることはむしろ逆効果となり、家族や周囲の者がそばにいることを伝えるなど、外側から温かくサポートしていくことが重要である。
厚生労働省 2011年)


このように、国が発行する白書に、
うつ病が明記されているのは、
正当化の証ととらえることができる。
新聞記事と同様、ここからもうつ病のイメージが発信されている。
 
新聞と白書から発信されているイメージを整理すると、
うつ病は適切な治療をすれば治る病気であり、そのためには早期発見が必要である。
自殺に繋がりうる病気であり、軽症のうちに精神科を受診するのが望ましい。
休息と適切な薬物治療が必要であり、励ましたり叱ったりせず、
周囲の温かいサポートが必要である。このようなイメージが発信されている。

医療化に則してうつ病の動向を観察すると、
クレイムメイキングから正当化につながる動きを見て取ることが出来る。
その中でうつ病について、副作用の少ない薬があり、治療可能で、
自殺に繋がらないように早期発見が必要である、というイメージが発信されている。
発信されたうつ病のイメージは、実際にはどのように受け止められたのだろうか。
また、そのうつ病のイメージは、社会にどんな影響を与えているのだろうか。

 
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